オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ポリス・ストーリー/レジェンド』

警察故事2013(Police Story 2013), 110min

監督:ディン・シェン 出演:ジャッキー・チェンジン・ティエン

★★

概要

ジャッキーが人質に取られる話。

短評

「ポリス・ストーリー(警察故事)」の名を冠してはいるが、シリーズと繋がりがないどころか警察アクションというジャンルですらない一作。ジャッキーが主演なので無理やり捩じ込んだようなアクションシーンが逆にノイズとなっている当世風のスリラー映画である。最後に明かされる真相はわざわざ全員を揃えなくても分かった程度の話でしかなく、心理戦も弱いのでスリラーとして上手くまとまっているとも言い難い。ジャッキー本人がタイトル詐欺みたいなことをするなんて……。

あらすじ

娘のミャオ(ジン・ティエン)に会うためバーにやってきたベテラン刑事のジョン(ジャッキー・チェン)。バーの店主ウーを恋人として紹介され、「俺と年が変わらないじゃないか(約25才差)、認めないぞ!」と反対する。ところがそれはウーの罠で、ジョンとミャオは店内の客と一緒に人質に取られてしまう。ウーの要求はウェイという囚人に会いたいというもの。

感想

なんだかんだあって、店内にはジョン、ミャオ、ウェイ、整形美女、薬局店主、そしてウーと手下たちが残る。ミャオ以外は五年前にウーの妹が死んだ事件の関係者である。全員集合して真相が明かされるというのはいかにもスリラー的な展開なのだが、娘と付き合って呼び出したジョンや人質立て籠もり事件を起こしてまで呼び寄せたウェイに対して、バーの開店三周年パーティーにのこのこと現れた残り二人の扱いが明らかに軽い。ジャッキーだけにフォーカスしているせいで、「こいつらも関係者だったのか」という驚きが全く得られない。

折角集めたメンバーだが、妹の死の大凡の真相はジョンとウーの手下から聞ける内容で事足りる。もったいぶらずに最初からちゃんと話を聞けばよかったではないか。ウーが関係者に復讐するために集合させたはずが、「いや、元々はお前のせいなんやで」という皮肉な展開となり、シリアスな雰囲気とは対照的な笑い話だった。ここでどんでん返したまではよいが、その後も続くシリアス展開がシリアスに見えないのが欠点である。逆恨みに次ぐ逆恨み。これではシスコン兄の暴走でしかない。

ジャッキー的な見せ場はウーの手下ピチョンとの一対一の格闘戦だろうか。このシーン自体に「無理やり捩じ込んだ感」があるのは否定しないが、還暦間近のジャッキーが頑張っていた。とは言え、細かいカット割りとスローモーションに頼ったアクションは彼らしくない。非アクションスターの俳優がアクションに挑んだような既視感のある映像ではやはり満足できなかった。ジョンが予測する先の展開が映像として流れるが、これは裏切られた上でもっと派手にしないと逆効果なのではないかと思う。

レジェンダリー製作のハリウッド映画によく出ている中国人女優ジン・ティエンが(まるで似合ってない)パンク娘みたいな格好だったので新鮮に感じたが、すぐに「パパに構ってほしくて悪ぶったの」といつもの黒髪ロング姿に戻っていた。彼女には中国資本のゴリ押し女優的な悪いイメージもあるかもしれないが、美人なので三十郎氏は好きである。もしアジア系の女優を使わなくてはいけないという制約があるのなら、彼女のような美人を使ってほしい。これは特定の作品の特定の女優に対する不満である。

無理やりにでも本家『ポリス・ストーリー』シリーズと繋げてみると、ワーカーホリックなチェンがメイと結婚しても、彼らが幸せな結婚生活を送ることはなく、娘がグレたかもしれないといった感じだろうか。とにかくメイが気の毒である。

ポリス・ストーリー /レジェンド(字幕版)

ポリス・ストーリー /レジェンド(字幕版)

  • 発売日: 2016/11/25
  • メディア: Prime Video