オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ファイナル・カウントダウン』

The Final Countdown, 102min

監督:ドン・テイラー 出演:カーク・ダグラスマーティン・シーン

★★

概要

1980年の空母が第二次大戦前の世界にタイムトラベルする話。

短評

似たような設定の話が日本でも数多く作られているような気がする。戦勝国にも敗戦国にも共通して最新の装備で「俺TUEEE」したい少年の心の持ち主がいるらしい。もっとも本作の場合は、タイムトラベル後の状況把握と行動判断に大半の時間が割かれており、実際の行動に出る前に再度タイムトラベルするという「俺TUEEE」できない映画だった。綺麗にまとめたようで実際には何もしていない。アイディアは面白くなりそうだが、掘り下げが浅く、映画初出演となったらしい空母ニミッツやその他戦闘機の単なるプロモーション動画的だった。

あらすじ

イーランド大佐(カーク・ダグラス)率いる航空母艦ニミッツ。艦を製造したタイドマン重工の分析官ラスキー(マーティン・シーン)が視察に訪れてのハワイ沖航行中に奇妙な嵐に巻き込まれる。嵐を抜けると周囲にいたはずの船が消えており、無線にも応答がなく、ラジオから昔の番組が流れてくる。偵察機真珠湾を撮影してきた結果、彼らは第二次大戦前、真珠湾攻撃直前の世界にタイムスリップしたことが判明する。

感想

タイムスリップしたと判明したら、次はどうするのかが問題である。歴史を変えるべきな否か。この種の議論が艦長たちの間で一通り交わされ、現代(1980年)の戦闘機が日本の零戦を迎え撃とうという正にその瞬間、再び嵐が出現して「やっぱり戦うのは止めて現代に帰ろう」で終劇である。なんだこの肩透かし感は……。過去に置き去りにされた人物が実は……とオチをつけることで綺麗にまとまった風にはなっているが、どう考えても物足りない。最終的な結末が議論の結果と食い違っているのも唐突感だけを残す。

本作は、舞台となる空母ニミッツそのものが主役であり(第二次大戦時にはニミッツ将軍は現役だったとのこと)、離着艦の様子、飛行中の給油、編隊飛行、そしてドッグファイトといった戦闘機の勇姿を長々と披露することが目的の映画だったように思う。アイディアに展開がついて来ないストーリーはおまけである。破格の予算の超大作となることを回避した結果、設定に対する素直な期待は裏切られ、軍事オタクを喜ばせるためだけのプロモーション映像になってしまった。こうなるとむしろアイディアの方が余計に感じられ、全く別設定の映画にした方がよかったのではないかと思う。

撃墜されて囚えられる日本人パイロット演じているのは韓国系アメリカ人とのことだが、字幕なしでも理解できる日本語を話していた。このタイプの日本人の描写としては非常に珍しいと思う。

無人島に置き去りにされそうになったチャップマン上院議員が照明弾を奪取し、ヘリ内で暴れた結果暴発。ヘリが大破している。米軍のヘリコプターが軟弱なのか、照明弾が強力過ぎるのか。軍の全面協力あってこその映画だろうに、そこはいい加減でよいのだろうか。無人島に二人で置き去りにされたオーエンスとローレル女史(キャサリン・ロス)には起こることが起こる。ローレル女史は着替えの時にも大胆だったので、当然と言えば当然か。