オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ブラッディ・ツイン』

Let her out, 87min

監督:コーディ・カラハン 出演:アラーナ・レビアージ、ニナ・キリ

★★

概要

バニシング・ツインに身体を乗っ取られる話。

短評

最近よく見かける気がする妊娠中に相方に吸収された双子もの。人気の題材なのか、『2重螺旋の恋人』が印象的だったので目につくようになっただけなのか。消えた双子の存在というのは、「内なる自分」を分かりやすく表現しやすいのだと思うが、本作はギャーギャーと喧しいだけのB級ホラー映画だった。

あらすじ

モーテルの従業員兼売春婦として働く女(ブルック・ヘンダーソン)。終業後にやって来た男にレイプされて妊娠し、自分の腹をハサミで刺すというデンジャラスな堕胎を図る。幸いにも赤ん坊は一命をとりとめたが、母体は死亡。それから23年後、その時の赤ん坊ヘレン(アラーナ・レビアージ)は、交通事故に遭って以来、幻覚や幻聴、記憶が飛ぶといった症状に悩まされるようになる。友人のモリーニナ・キリ)に付き添われて病院を受診すると、脳に双子の残骸(バニシング・ツイン)があることが判明する。

感想

脳にそんなものがあるなんて大変ということで、三日後の手術が決定する。ヘレンは各種の症状に悩まされているが、この三日間さえ乗り切れば大丈夫……だけど大丈夫じゃないという物語。三十郎氏は「三日後に大手術を控えていて、記憶障害まであって危険な状態なのに、入院せずに自宅待機」という状況自体に非常に驚かされるのだが、これは医療保険制度の関係なのか。なお、本作はカナダ映画で、同国には皆保険制度があるとのこと。

入院して適切に監視されれば平和裏に手術完了で何も起こらなかったかもしれないが、それではホラー映画にならない。ヘレンの記憶が飛んでいる間に何かが起こっていたり、気がついたら皆の前で全裸を披露したりする。困ったヘレンは自分をベッドに拘束するという対策を打つのだが、自分が後で解けるように拘束しているのだから第二人格だって当然に解くことができる。ドアに椅子を立て掛けてロックしようとも、部屋の外からやらねば何の意味もない。モリーに頼めばよかったのに。ヘレンは少し頭の足りない子なのである。

そうこうしている内に暴走を続ける双子ちゃん。全てが脳の機能障害で説明がつく話なので「さっさと入院しろよ」と思いながら観ていると、遂に双子がその正体を表す。文字通りヘレンの中から出てくる。彼女の皮を剥いで。思わず「『ミッション:インポッシブル』かよ」と笑ってしまったが、この描写自体はグロテスクでとても楽しかった(他には髪の毛を吐くありがちな描写も好き)。もっともその先はモンスター映画的な展開でしかないので、双子という風呂敷は上手く畳まれなかった印象である。

自転車便を営むヘレンには、彼女に会いたいがために毎日配達を依頼するローマンというストーカー的な顧客がいる。ヘレンは彼に気味の悪い肖像画をプレゼントされるのだが、これが超常現象的重要アイテムっぽい割には無意味だったと思う。芸術家が見抜いたヘレンの内面という演出なのだろうが、描いたのはキモいストーカー気質の男である。これでは説得力がない。ヘレンはモリーの恋人エドにも言い寄られるモテ女だったが(しつこいので殺害)、肌荒れが気になるし、シャワーシーンもセックスシーンもあるのに見せないのが気に食わなかった(母親は見せてるのに)。

ブラッディ・ツイン(字幕版)

ブラッディ・ツイン(字幕版)

  • 発売日: 2017/06/02
  • メディア: Prime Video