オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『なまいきシャルロット』

L'effrontée(An Impudent Girl), 95min

監督:クロード・ミレール 出演:シャルロット・ゲンズブール、クロチルド・ボードン

★★★

概要

思春期の少女が同い年のピアニストに憧れる話。

短評

近年の作品だと『ニンフォマニアック』での乳首の長いおばさん役のイメージが強いシャルロット・ゲンズブールだが、こんなにも儚げな美少女時代が存在したのか。彼女の「私ブスだし」の台詞には全方位から「それはねーよ」とツッコミが入ったことだろう。スラリと細長く伸びたカモシカのような脚、口が半開きの間抜けな表情でも隠し切れない上品さ。それでいて汗ばんだ肌が艶めかしい。紛れもない美少女である。プロットは典型的な思春期の成長譚なのだが、等身大の少女の姿をコミカルに捉えていたと思う。

あらすじ

13才の少女シャルロット(シャルロット・ゲンズブール)。思春期でありかつ反抗期の彼女は、いつもイライラして周囲に突っ掛かっている。ある日、彼女は同い年のピアニスト、クララ(クロチルド・ボードン)の映像を見て魅了される。コンサートのために街を訪れていたクララに道を訪ねられ、更には彼女の家を訪問し、シャルロットのクララへの憧れが強まっていく。

感想

現状への不満が理想の自分への憧れとして噴出する話。要するに「隣の芝は青い」である。思春期の少年少女であれば誰しもが経験する麻疹のようなものである。「この体験から何を学ぶか」が「免疫」を意味しているわけだが、ここで免疫が出来ずに拗らせている大人も多いように感じる。三十郎氏は大丈夫だろうか。無免疫者はこの病気を認識できないが故に無免疫であるため、周囲から「痛い人」として遠巻きにされることとなる。瑞々しいと微笑ましく思ってもらえるのは思春期だけなのだ。大人が拗らせていても可愛げの欠片もない。それ故に思春期の拗らせは本人にとってもかつての少年少女にとっても尊いのである。

ジャンに年齢を尋ねられて「15才」と答えるシャルロット。テレビの画面に映るクララがカメラに視線を向けたのを自分へ視線をくれたように錯覚するシャルロット。大人に見られたかったり、自分を特別な存在だと思いたかったり。これって思春期あるあるだよなあ……。有名人の自宅に招かれて「彼女と一緒に旅に出る!」と本気で考えた経験を持つ人は稀だろうが、たとえば気になる異性に声を掛けられて舞い上がったり、裕福な友人の家に遊びに行って自分とは違う生活ぶりに憧れてみたりといったことの延長線上だろう。

13才のシャルロットが成人男性の旋盤工兼船乗りのジャンに押し倒されるシーンがあったり(地球儀で撃退)、シャルロットよりも幼いルル(ジュリー・グレン)が無防備に裸を放り出している描写に時代を感じる。今ならもっと“アウト”な行為として描かれるだろう。ルルくらい幼いと無防備でも微笑ましく思えるのだが、シャルロットの胸がチラッと映るシーンは、何か見てはいけないものを見ているような後ろめたさとドキドキがあった(ゲンズブールは当時14才)。ルルはショートカットで山下清的なファッションをしているので男の子と見分けがつかないのだが、ワンピースを着ているとしっかり女の子だった。服装で変わるものだな。

シャルロットが「人生って冷たい」という小洒落た台詞を口にする。フランス人は少女の頃からフランス人である。日本人が言うと中二病扱いされるに違いない。映画冒頭のプールの授業のシーンには大人顔負けの大胆なビキニを着ている女子がいて、ここでも「欧米は凄いな」と思った。

なまいきシャルロット (字幕版)

なまいきシャルロット (字幕版)

  • メディア: Prime Video