オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ヒッチハイク』

Autostop rosso sangue(Hitch-Hike/Death Drive), 103min

監督:パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ 出演:フランコ・ネロ、コリンヌ・クレリー

★★★

概要

ヒッチハイカーに妻を寝取られる話。

短評

ちゃんとスリラー映画ではあるのだが、メインディッシュがとってもNTRな一作。その二つの部分については非常に満足できるだけに、“その後”の展開には不満しかない。『SEX発電』の監督カンパニーレは、広げた風呂敷を上手く畳めないというか、ズバ抜けて良い部分に他が追いつかないタイプの人らしい。惜しい。とても惜しい。スリラーのはずなのに妙にユルい不思議な劇伴を担当しているのはエンニオ・モリコーネ。この音楽が寝取られシーンの印象を特別なものにしている。

あらすじ

キャンピングカーでアメリカを旅行中のイタリア人夫妻ウォルターとイブ(コリンヌ・クレリー)。四六時中酒を飲んで酔っ払い、妻がその気でなくとも見境なく身体を求める夫に妻は辟易していた。二人は道中でアダムというヒッチハイカーを拾うのだが、その男は警官を殺して逃亡中の強盗犯だった。

感想

アダムはウォルターが記者だと知ると、「この逃亡劇を本にしよう。濡れ場があった方が売れる」と言い出して、イブをレイプする。もっとも乗車時から「一発ヤりたいぜ」と言い出してトラブっているため、本なんて関係なくイブが欲しいだけである。イブは顔も体つきも服装(シャツのボタンをとめずに裾を結び、スカートには二つの深いスリット。なお、パンツはピンクで上はノーブラ)も全てが非常にセクシーなので、ウォルターは彼女が運転中でもお構いなく盛っておっ始めるし、アダムが暴走するのも無理はない。

男たちをジョニーのままに行動させてしまう美貌の持ち主イブを演じるコリンヌ・クレリーのおっぱいはとても綺麗だった。“綺麗なおっぱい”の一つの条件として、「乳輪のブツブツがないこと」が挙げられると思うのだが(モンゴメリー腺というらしい)、あの差は何が原因で生じるのだろうか。綺麗なおっぱいに感銘を受ける度に同じ疑問を抱く。クレリーは『O嬢の物語』といういかにも桃色そうな映画にも出演しているらしいので、是非とも観てみたい。

さて、注目の寝取られシーン。ウォルターは体育座りの格好で手足を拘束され、妻が犯される姿を見せつけられる。一方のイブは、顔を強張らせ、目を潤ませてはいても無抵抗でアダムを受け入れる。レイプにしてはきっちり愛撫からスタートするという随分ねっとりとした交わり方だと思っていたら、彼女がアダムの首に手を回しだすのである。完全に快楽堕ちである。彼女にはアダムを撃つチャンスがあったのにそうしなかったのは、心のどこかで夫以外の男を求めていたからなのだろう。キャンプ場でカップルの情事を目撃したイブ曰く「彼らのは愛、あんた(=ウォルター)のはファック」。夫への不満が快感を呼ぶのだ。ウォルターはと言えば、目を血走らせて釘付けになっていたかと思えば苦しそうに目を瞑り、一筋の涙を流して顔を背ける。対するイブは、夫の方へと顔を向けたまま悦びに表情を歪めていく。一連の表情の変化が絶妙だった。

三十郎氏は酷く動揺した。胸が苦しいような高鳴るような。寝取られたいとも寝取りたいとも異なる新たな感情の存在を自らの内に認めた。性的興奮とも違う。これが寝取られものの魅力なのか。このジャンルを初めて頭ではなく心で理解できたような気がする。

その後、(車内でもう一戦交えてから)イブが隙を突いてアダムを射殺し、茫然自失の状態で涙を流す彼女にウォルターが服を着させるシーンまでは最高である。全裸でライフルを抱えるイブのショットは至高と言える。問題はその先の展開で、元より微妙だった夫婦の関係がどう変化するのか。(少なくとも三十郎氏的には)この点に大きな期待が集まるわけだが、話をスリラーに戻して、なんとウォルターがイブを殺すというバッドエンド。三流記者となじられたコンプレックスが歪んだ形で表出したのか。快楽堕ちした妻を受け入れられなかったのか。いずれにせよダメ夫のウォルターよりも美しき妻イブが好きだった三十郎氏には大変後味の悪い展開だった。ウォルターが200万ドル持ち逃げしてハッピーエンドみたいなのがなおのこと気に食わない。“その後の変化”を描き切れないなら、いっそ序盤を上手く引き伸ばして射殺の辺りで終劇にすればよかったのに。これなら想像の余地があるタイプの後味の悪さにできる。

アメリカは怖い国である。ヒッチハイカーを拾えば強盗犯だし、ダイナーで不良にたかられて金を恵んでも襲撃を受けて車を横転させられる。『イージー・ライダー』かよ。

ちなみに、日本の劇場公開版はレイプシーンがもっと長かったのだとか。それを配信しろよ。もっと見せろよ。

 

*追記

無料期間終了前に桃色シーンだけ再度確認してみたのだが、冒頭で夫に押し倒される場面でもイブはしっかりと反応していた。真性の好色なのか。

ヒッチハイク (字幕版)

ヒッチハイク (字幕版)

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