オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ハウス・オブ・ザ・デッド』

House of the Dead, 90min

監督:ウーヴェ・ボル 出演:ジョナサン・チェリー、オナ・グローアー

概要

パーティー会場の島にゾンビがいた話。

短評

最低監督と誉れ高きウーヴェ・ボル謹製のゾンビ映画。その名に恥じない酷い出来だった。この監督はビジュアルさえゾンビ的なら何でもゾンビだと思っているらしく、登場人物にロメロ御大の名を口にさせることすら烏滸がましいと感じる拘りの無さだった。カメラワークやBGMの面で『マトリックス』を真似てスタイリッシュにしたかったのだろうが、残念ながらスタイリッシュの意味を履き違えている。過剰に挿入される原作ゲームの映像が象徴するように、無意味な演出が異常なまでに多い一作である。

あらすじ

孤島で開催されるパーテイーへ向かう男女五人組。船に乗り遅れたために漁船をチャーターして会場に乗り込むも、不思議なことに客が誰もいない。不審に思って周囲を捜索してみると、そこはゾンビに支配された島だった。

感想

ゾンビの頭部を踏み潰すシーンでは美術班が良い仕事をしていたので、予算不足から来るチープ過ぎる描写が問題となる駄作ではない。戦いの舞台となる墓と廃墟の造形もなかなかのものである。ウーヴェ・ボルは他作品で多くのスター俳優を出演させているし(ステイサム主演の『デス・リベンジ』という作品が気になる。このキャストと邦題でファンタジーらしい)、才能に見合わぬ資金だけは豊富な監督なのである。それ故にここまで有名になってしまったのだろう。従って、本作の不出来は彼(と脚本家)が全面的な責を負うべきである。やりたい事をやった上でダメなのがなんとも罪深い。

主人公がモノローグで男女五人組の紹介をしてくれる。このモノローグがいちいち流れとテンポをぶった切って鬱陶しいのだが、紹介する程の内容でもなければ、主人公がなかなか本編に絡んでこないので「誰だこいつ……」感がある。この時点で酷い映画であると不安がよぎり、寒いのにおっぱい水泳する女(エリカ・デュランス)の危機をサメ映画風の水中映像で煽りながら、陸上にいる恋人の方が消えているという謎演出で確信に至った。演出の整合性とか意味を考えられない人なのだと。

泳いだり飛び跳ねたりと元気なゾンビたち。かと思ったら登場人物の行動を待ってくれるかのようにウスノロなタイプもいる(カーク船長は小屋から離れて自爆するべきだったと思う)。ゾンビの発生原因については説明があるものの、ゾンビがどういう存在なのかを一切考慮することなく制作されてしまったのだろう。おかげで、人間・ゾンビ共に何がしたいのか分からないことが多い。噛まれた箇所に酒を掛ければ大丈夫という演出は酷い。

それもそのはず。きっと監督がやりたかったのは『マトリックス』の真似だけなのである。武器を手にした主人公たちが繰り広げるゾンビとの大乱闘がこの映画の全てである。電子音のアップテンポなBGMを流し、登場人物の周りをカメラがグルグルと回転する(ちゃんと順番に全員分やる)。バレットタイムもある。こいつらはいつの間に特殊部隊的戦闘技術を身につけたのだろうか。監督の「どうだ!凄いだろう!」と声とドヤ顔が画面から伝わってくるかのようだが、同じ演出の繰り返しばかりで飽きてくる。しつこい。余りにも工夫がない。激しく動かせばそれだけで迫力が出ると思うな。

景気よく放り出されたおっぱいくらいは評価してもよいだろう。件のおっぱい水泳、パーティーでお約束的に脱ぐ女、そして船酔いした恋人にゲロを吐きかけられたシンシア(ソーニャ・サロマ)のおっぱい丸出し洗濯(なお、洗った服は乾かすことなく乾燥している)。ゲロからおっぱいの流れは強引で笑えた。爆発する小屋から脱出シーンでスローモーションおっぱいが派手に揺れているアリシアオナ・グローアー)も脱いでおくべきだった。

シネフィルWOWOWプラスの配信作品なのかと思ったら、プライム会員特典としても配信されていた。損した気分である。

ハウス・オブ・ザ・デッド

ハウス・オブ・ザ・デッド

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