オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ファンタスティック・プラネット』

La Planète sauvage(Fantastic Planet), 71min

監督:ルネ・ラルー 出演:ジェニファー・ドレイク、エリック・ボージャン

★★★

概要

ドラーグ人に虐げられた人類が反旗を翻す話。

短評

シュルレアリスム絵画の世界に迷い込んだような不思議なアニメーション映画。『アフターマン』の表紙の生物もかくやと驚く妙ちくりんな動植物が多数登場し、異世界的独創性に唖然とさせられる。手描き感溢れる映像はペン画と色鉛筆を組み合わせて創作されたかのように見え、これまた奇妙である。ストーリーには示唆的な部分があるのかもしれないが、とにかく不思議な映像世界に目を奪われるばかりで、あまり頭に入ってこなかった。

あらすじ

人間よりも遥かに巨大なドラーグ人が支配する惑星。子供の悪戯で母を殺された赤ん坊がティバという少女に助けられ、テールと名付けられる。ペットとして飼育されるテールだったが、ティバの勉強に同席していたことから高度な知識を得るようになる。やがてティバの家から脱走したテールは、野生の人間たちと出会う。

感想

青い肌に赤い目、エラのような耳を持つドラーグ人。どこかで見たことのあるデザインだと思っていたがこの映画だったのか。彼らは瞑想を日課とし、まだら模様のピッチリスーツを着て(女はスク水AVのように胸の部分に穴が空いている。三十郎氏はこれが好きではない)、身体の形状を変化させ、霞のようなものを食べて生活している。脳に直接情報を送り込めるレシーバーと呼ばれる学習デバイスは『マトリックス』的だと感じたが、この発想自体は勉強が嫌いな子供たちが皆一度は思いつくものだろう。

対する人類。蚕のように糸を吐き出す動物が野生人種の衣類をテーラーメイドし(ワンショルダーで片乳を放り出すスタイル。我々の世界でも流行しますように。お婆さんの垂れ乳は隠してください)、ドラーグ人にペットとして飼育されたり、人間狩りの被害に遭っている。「人間は繁殖してばかりの害獣だから定期的に排除せねばならん」とのこと(女たちが服を脱いで駆け出し、男たちが追いかけ、一対一のカップルとなって物陰に消えていく。一種の集団交尾か)。この辺りは我々人類とペットや野生動物との関係を想起させるが、絵の奇天烈さほど興味を惹かれるものではなかった。人間を遠景で捉えた際には黒一色の影として描かれており、地面を這う蟻のようだった。顔のアップは劇画調で、なんとも言えない表情で静止するのがシュールだった。

なんと言っても奇妙な動植物である。「異形」とか「独創的」とか何とでも言えるのだろうが、この魅力を言葉で説明するのは三十郎氏の身に余る。とにかく珍妙である。植物は植物と認識してよいのか怪しい様相で、血管らしきものが走っていたり、中に動物的なものを飼う食虫植物的なものもある。食される生物も虫と認識してよいのか怪しく、エリマキトカゲのエリのようなもので空を羽ばたく謎動物である。金属製みたいな植物も生えている。こんな生き物たちが無数に登場する。言ってしまえば気味が悪いのだが、それは悪夢的とも少し違っていて、同時に癖にもなる。70分と短い映画なので一度は体験しておいて損はない一作だろう。自分の発想がいかにちっぽけな常識に囚われているのかを理解できる。

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