オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ポリス・ストーリー/香港国際警察』

警察故事(Police Story), 100min

監督:ジャッキー・チェン 出演:ジャッキー・チェン、ブリジット・リン

★★★

概要

ジャッキーが麻薬取引事件の証人を保護する話。

短評

アイディア溢れるスタント、大掛かりなアクション、そしてコミカルな演技とジャッキー・チェンらしさの詰まった一作。山の斜面のスラムを丸ごと破壊するカーチェイス、傘を使ったバスの追跡、ショッピングモールでの戦いというアイディアありきで作られたストーリーとのことで、その三つのシーンがそのまま最大の見せ場となっている。特に気に入ったのはカーチェイスの圧倒的スケール感。それらの大きなアクションの間を笑いや小さなアクションが埋める構成となっていた。「国際」要素はなかったかな。

あらすじ

香港の麻薬取引を仕切る組織のボス、チュウ・タオの摘発に動いた香港警察。チェン(ジャッキー・チェン)の活躍もあり、なんとか逮捕に成功する。検察はタオの秘書サリナを証人として協力させるために釈放し、チェンが彼女の保護を担当することになる。

感想

組織の摘発作戦は、ジャッキーらしくない銃撃戦からスタート(銃が相手だとカンフーの出番がない)。同僚刑事がビビりながらも敵を射殺してズボンを濡らすというコミカルな描写もあるものの、基本的にはシリアス路線の空気が漂う。この後、斜面カーチェイスとバスの追跡があって、タオ逮捕後は終盤になるまで一貫してコミカル路線。大きな見せ場を序盤で消化してしまったことや雰囲気の唐突な変化が少々バランスの悪さを感じさせるものの、それぞれのシーンは魅力的に作られていた。

カーチェイスでスラムを丸ごと破壊してしまうというスケールの大きさである。このシーンはハリウッド映画顔負けの迫力と言ってもよいだろう。最後の見せ場である電飾を破壊しながらポールを滑り降りるシーンは三回に渡って複数アングルの映像が流れるが、このスラム破壊はセットを組み直したりできまい。そもそもセットなのだろうか。元からあったものを買収して使用したのだろうか。とにかく“やり過ぎ”感があって楽しかった。

もっともカーチェイス自体は「ジャッキーである必要性」がないため、そこに続く見せ場に「傘一本で戦う」という「ジャッキーならでは」のものを選択したのは賢い。この「ちょっと自分にもできそう(=できない)」で真似したくなるのが、ジャッキーのアクションが少年たちの心を鷲掴みにした秘訣だと思う。最も真似したいのは縦列駐車のテクニックである。

チェンがサリナの協力を引き出すため、彼女を同僚に襲撃させる「泣いた赤鬼」作戦のシーン。チェンと同僚が左右にリズミカルに動き、サリナはチェンの後ろに隠れて同じ動きをしている。これは『街の灯』のボクシングのシーンで見た動きである。ジャッキーがバスター・キートンのファンであることは知っていたが、確かに彼こそがキートンチャップリンの流れを汲む「言葉の要らない笑い」の継承者と言えるだろう。他には電話芸と靴についた糞を地面に擦り付ける無駄に上手いダンスが楽しかった。

高所からプールに飛び込まされたり(これは流石にスタントダブルか)、粉々に砕け散るショーケースに吹っ飛ばされたりと、サリナもなかなか身体を張っていた。チェンの恋人メイを演じているのは、キャリア初期のマギー・チャン。スクーターが暴れ回るシーンが面白かったが、あのシーンは結構な腕力が必要になりそう。

ジャッキーの代表作の一つというイメージがあったのだが、日本ではあまりヒットしなかったらしく、続編の劇場公開時には『九龍の目/クーロンズ・アイ』という邦題で、タイトルから「ポリス・ストーリー」が外されたのだとか。彼の代表作については様々な意見が存在するだろうが、三十郎氏は『プロジェクトA』と本作のツートップだと思っている。

ポリス・ストーリー/香港国際警察 (字幕版)

ポリス・ストーリー/香港国際警察 (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video