オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『華麗な関係』

Une femme fidèle(Game of Seduction), 88min

監督:ロジェ・ヴァディム 出演:シルビア・クリステル、ジョン・フィンチ

★★

概要

美しい人妻が悪い男と悪い女に騙される話。

短評

シルビア・クリステル主演の割には桃色方向に振り切れていないメロドラマ。彼女が最初に登場するシーンがステイシー・マーティンに見えてしまい(ここが抜群に美しい)、それ以降は本編の内容よりも二人が似ているのか似ていないのかばかりが気になって仕方なかった。メイクなのか、髪型なのか、表情なのか、角度なのか。ステイシー・マーティンに見える時と見えない時がある。脱ぎっぷりの良さという点も似ていることだし、ステイシー主演で「映画『エマニエル夫人』の真実」みたいな作品を撮ってはどうだろう。映画化すべき真実があるのか知らないが。

あらすじ

決闘で人を殺してしまったため、田舎に住む伯母の家に身を寄せるシャルル伯爵。パリ社交界きっての女たらしである。彼はマチルド(シルビア・クリステル)という美しい人妻に出会い、彼女の夫がイギリス出張中であるのをいいことにあの手この手で口説き落とそうとする。それはいつもの遊びのはずだったが、徐々に本気になるシャルル。しかし、彼の改心を快く思わない女がいた。シャルルのかつての愛人フローラ(ナタリー・ドロン。アラン・ドロンの元妻)である。

感想

原作の『危険な関係』は、何度も映画化されている有名小説である(読もうとしたことすらないが)。三十郎氏の観たことがあるものだと、『クルーエル・インテンションズ』も同作の翻案もの。監督のロジェ・ヴァディムにとっては二度目の映画化であり、余程思い入れがあると思われる。三十郎氏は「チープなメロドラマだな」と退屈したが、もっと読み解くべき内容があったのかもしれない。単に出来が悪かっただけかもしれない。しかし、フローラの心情をもう少し丁寧に描かないと成立しないドラマだとは確信できた。

マチルドは貞淑な人妻という設定で、シャルルはメイドや使用人、神父までをも利用して彼女を我がものにせんとする。落馬した振りをして介抱させ、貧民との交流(ヤラセ)を目撃するように仕込み、メイドに「あの人は善人ですよ」と言わせるセコい偽装工作が笑えた。世のモテ男たちも裏ではせせこましい努力をしているのだろうか。マチルドがそこまでしてでも落としたい美女なのはその通りなのだが、演じているのはあのシルビア・クリステルである。エマニエル夫人である。脱ぐに決まっている。設定と本人のイメージが乖離しているため、事に至った時の達成感は薄かった。

それでもやはり美しいマチルド。ステイシー・マーティンに似ていると思わせた髪型やメイクが三十郎氏好みである。衰弱した彼女の儚げな表情も素敵だった。『世にも怪奇な物語』のジェーン・フォンダがそうであったように、ヴァティムは美女の魅力をより強く引き出すことにかけては抜群の能力を発揮するらしい(この二作だけでは“それだけ”という気もする)。彼女と「35時間もベッドにいる」という体験はどれほどの夢見心地であろうか。絶対に途中でトイレに行くだろう。楽園的体験を堪能するにはあらゆる排泄器官をコントロールする必要があるのだ。無理だろ。意志薄弱な三十郎氏ならシャルルのように簡単にベッドから出られないだろうが、「行かないで」とすがるマチルドもまた良いのである。

処女イザベル(Marie Lebée)の男性器に対する反応が楽しかった。「動いてるわ。病気なの?」「美術館で見た彫刻と同じだわ」。ちょっと言われてみたい。逆に言ってみたいのは、マチルドのドレスを暖炉で燃やしてしまったシャルルの「裸で暮せばいい」。暖炉の前に裸で横たわるマチルドを見ていると、確かにそんな気分になる。飽きる気がしない。

華麗な関係 (字幕版)

華麗な関係 (字幕版)

  • メディア: Prime Video
 
危険な関係 (エクス・リブリス・クラシックス)

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  • 作者:ラクロ
  • 発売日: 2014/01/25
  • メディア: 単行本