オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』

Fast & Furious Presents: Hobbs & Shaw, 135min

監督:デヴィッド・リーチ 出演:ドゥエイン・ジョンソン、ジェイソン・ステイサム

★★★

概要

二人のマッチョなハゲが黒いターミネーターと戦う話。

短評

自動車の登場がギリギリのところで手段に留まっているスピンオフ作品。大きく破綻している頭の悪いストーリーや演出には留意しないとして、完全に主客転倒している感のある本編もこれくらいのバランス感にすればよいのでは?最後にカスタム車とニトロのお約束も出てくるし、車要素はあの程度で十分な気がする(もっとも本編はあれで大ヒットしているわけで、車好きでもシリーズのファンでもない者の的外れな意見だが)。マッチョで格好いいハゲ二人の共演はとても魅力的で、いい感じのハチャメチャ脳筋映画に仕上がっていた。

あらすじ

感染者の内蔵を溶かしてスープにする殺人ウイルス「スノーフレーク」。MI6の特殊部隊が確保に動くものの、ターミネーターみたいな黒人ブリクストン(イドリス・エルバ)の妨害を受ける。隊員のハッティ(ヴァネッサ・カービー)は自らの体内にウイルスを注入して逃走。CIAからルーク・ホブス(ドゥエイン・ジョンソン)に彼女を保護するよう指示が下る。同じく指示を受けたロンドンの協力者は、ホブスとは犬猿の仲のデッカード・ショウ(ジェイソン・ステイサム)。ハッティの兄である。

感想

格好いいハゲは皆マッチョ。禿頭と筋肉の組み合わせを信奉する者として、ドゥエイン・ジョンソンとジェイソン・ステイサムのタッグは夢の実現である。今こそ声を大にして叫ぼうではないか。マッチョなハゲこそが最も格好いい男のスタイルなのだ。男は皆筋肉を鍛えろ。そして、禿げろ。もっとも三十郎氏に彼らのような筋肉はない。セクシーに額の盛り上がったステイサムの素敵な禿頭を見ていると、たとえ筋肉があっても彼のように格好いいハゲにはなれないと(元からない)自信を喪失する。ドゥエイン・ジョンソンは人外枠の怪物なので参考にしないものとする。しかしながら、彼はあえてスキンヘッドにしているので、ハゲこそが格好いいという事実の証拠となる人物ではある。

脳筋アクション映画にあれこれ言うのは無粋だが、ホブスが「知恵は哲学よりも肉体に宿る」と知性をアピールしているので一応ツッコんでおこう。それも含めての楽しみ方である。まるでスペクターのような悪の組織エティオンに潜入し(「弱者を殺して完全な世界を」という分かりやすい悪役な発想が阿呆で楽しい)、ウイルス抽出装置を盗み出す以降の終盤の展開。まず、ハッティが一人で潜入して盗み出しているので、ハゲ二人が無駄な大立ち回りを演じなければきっとミッションは静かに完遂している。二人のせいで装置が故障し、修理のためにホブスの故郷サモア島へ。エティオンからサモア島まで何時間掛かるのかは分からないが、自動車修理工の兄に修理できる機械であれば、移動時間中に他のエンジニアがミッションを終えられたに違いない。そんな小さな破綻には目を瞑るとして、ハッティはエティオン以外の組織も血眼になって追わなければおかしいと思う。そもそもブリクストンから逃げられるなら自分にウイルスを注入する必要もなかったのでは?

サモア島での最終決戦は夜明け前にはじまる。決戦前に起動した抽出装置のタイマーを見ると最大でも9分しか経っていないはずなのだが、その間にすっかり日が昇り切っている。夜明け前にホブスが咆哮を上げ、敵を炎で囲む戦術をやりたかったのは分かるが、時間の流れが無茶苦茶である。暗かったり明るかったりと忙しい次は嵐がやって来て、『マトリックス レボリューションズ』みたいな戦いが格好よかった。「二人がチームで戦えば勝てる」みたいなお約束的展開なのだが、ブリクストンの戦闘は画像認識技術に依存しているため、人数よりも死角からの攻撃が鍵ではないかと思う。また、視界に入っていても同時攻撃が有効だったので、もう少し高性能な処理エンジンを積むべきだと思う。本人よりも自動操縦を極めたバイクの方が凄そうだった。

三十郎氏はドゥエイン・ジョンソンも好きだが、やはりジェイソン・ステイサムの方が好きである。ホブスが忌み嫌う彼のハリー・ポッター的発音は格好いいと思うし、どちらの声を手に入れたいかと言えば圧倒的にステイサムである(三十郎氏の顔であの声だとどうなるのだろう……)。戦闘シーンでスローモーションが多用されているのだが、殴ったり殴られたりする時の表情の豊かさでもステイサムに分があるように感じる。ファンなので贔屓目なのは認める。

筋肉全振り生活のホブスと優雅な暮らしを送るショウを画面分割で対比させる演出が面白かった。どちらの生活を送りたいかと言えばやはりショウの方が……。ベッドに美女がいるし。生卵よりもオムレツの方が美味しそうだし。ショウの方がモテるし。兄とマルガリータエイザ・ゴンザレス)の濃厚なキスでの挨拶に、目を丸くして引き気味に驚くハッティの表情が可愛かった。

ライアン・レイノルズが出てきて、やたらとメタな小ネタを入れたがり、しつこいまでの本編後映像があるのが、『デッドプール』の監督デヴィッド・リーチの芸風なのか。

ワイルド・スピード/スーパーコンボ (字幕版)

ワイルド・スピード/スーパーコンボ (字幕版)

  • 発売日: 2019/11/27
  • メディア: Prime Video