オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『処刑軍団ザップ』

I Drink Your Blood, 83min

監督:デヴィッド・E・ダーストン 出演:バスカール、エリザベス・マールナー・ブルックス

★★★

概要

ヒッピーが犬の血入りミートパイを食べて狂犬病になる話。

短評

プラネット・テラー』と『デス・プルーフ』で見た「GRINDHOUSE RELEASING」のOPタイトルに思わずテンションの上がる一作(BGMも同じ)。これが本家のエクスプロイテーション映画なのか。タランティーノたちの作品を観ていなければ「なんじゃこりゃ!」で終わっていたであろうヘンテコで安っぽい映画なのだが、彼らの映画的原体験に少し触れられてなんだか嬉しくなった(大量に観たいとは思わないが)。この時代の女性のファッションはスカート丈が短く、映画的な趣味以外にも養われたものがあるらしい。ところで「ザップ」って何?

あらすじ

とある田舎町に悪魔崇拝者のヒッピー集団が現れる。彼らの儀式(全裸。陰毛あり)を覗いた地元娘のシルビア(アイリス・ブルックス)が乱暴され、文句を言いに行った祖父も返り討ちに遭って薬を盛られる。この事態に憤怒したシルビアの弟ピートは、自ら射殺した狂犬病の犬の血をヒッピーたちのミートパイに注入し、復讐を試みる。ピートの狙い通りにヒッピーたちは感染し、常軌を逸した行動をとりはじめる。

感想

やや冗長な序盤からの悪趣味なエロとグロ、そして唐突に訪れるエンディング。ものすごく盛り上がるわけではないのだが、ピート少年が身体に似合わぬ大きな猟銃で犬を射殺し、その血を採取してパイに注入するという狂気じみた行為を、あたかも当然のように淡々とこなしているシュールさである。ヒッピーのボス、ホーレスのケラケラと笑い声を上げながら儀式を行う人物像と言い、どこまで本気でやっているのか分からない珍妙さが癖になるタイプの映画だった。きっとサメ映画は現代のエクスプロイテーション映画なのだ。サメ映画にも最低二人以上のおっぱいを出すことを義務付けるべきだと思う。

狂犬病に感染したヒッピーたちが口から白い泡を吹きながら暴れだす(特に黒人ヒッピーの演技が良い)。発症前のミス・フリーセックス女(巨乳)と交わった地元の作業員たちにも二次感染する。彼らはゾンビと違って知性が残されているので、ナイフ等の武器を持って追いかけてくる。この光景はホラーというよりもチンケな鬼ごっこ的コメディ感があった。ミス・フリーセックスと作業員の全裸追いかけっこも滑稽である。狂犬病は恐水症とも呼ばれるらしく、追いかけてきたヒッピーたちに川の水を浴びせて足止めするシーンは爆笑ものである。

血糊やちょん切られた頭部の安っぽさは言うまでもないが、狂犬病集団に襲撃されるベーカリーの壁の安普請が凄い。突き破られたり破壊されるのではなく、壁全体がバタンと倒れる。通常の使用にも耐えられないレベルである。一方で、生贄の鶏やBBQのネズミは本物が使用されており、現代の映画制作倫理を超越していた。犬とヤギも本物なのだろうか。犬殺しはこの時代でも抵抗がありそうだが。妊婦が腹を刺しての自害、中国女の焼身自殺、頭の串刺しで決着するヒッピーどうしの戦い。これらのやりたい放題感は楽しかった。

やりたい事は全てやり切ったのか、感染者たちに囲まれて大ピンチという時に警察が到着し、壮絶な銃撃で蜂の巣に。医者が「恐水症は怖い」と言って終劇である。序盤はチンタラやってたのに最後は圧倒的なスピード感だった。

グラインドハウスであれば二本立てだろうと調べてみると、『I Eat Your Skin』というゾンビ映画が同時上映されたようである。残念ながらこちらには邦題がついていないため、日本語字幕つきのバージョンも存在しないのだろう。

処刑軍団ザップ (字幕版)

処刑軍団ザップ (字幕版)

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I EAT YOUR SKIN (1964)

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  • メディア: DVD