オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』

Diary of the Dead, 95min

監督:ジョージ・A・ロメロ 出演:ミシェル・モーガン、ジョシュ・クローズ

★★★

概要

ゾンビの発生をドキュメンタリー映画として記録する話。

短評

ロメロ御大がモキュメンタリーに挑戦した一作。単純なPOVではなく、劇中で撮影された映像を編集した映画『The Death of Death(死の終焉)』として劇中劇の入れ子構造となっているのが特徴である。本作は観たことがあったのだが、続編『サバイバル・オブ・ザ・デッド』が配信されているので、折角なら続けて観ようということで。「死人はノロいんだよ」「早く動いたら脚がもげるだろ」と強調されているように、地味ながらも御大らしい正統派ゾンビが逆に新鮮に思える昨今のゾンビ界隈である。。

あらすじ

ピッツバーグ大学のジェイソンたちは、卒業制作でミイラの出てくるホラー映画を撮影中だった。休憩中にラジオから「死者が蘇っている」との一報が入り、そのまま撮影は中断。誤報を疑いながらも皆でロケバスに乗って移動を開始するが(寮でデブラ(ミシェル・モーガン)を回収)、道中で本当にゾンビに出会ってしまう。ジェイソンはこの様子をカメラに捉え続ける。

感想

「オッパイがポロリなんてありえない」と苦情を申し出たトレイシー(エイミー・ラロンド)が(テキサスの女は逞しい!)、ミイラ映画と同じ状況に遭遇して、しっかりおっぱいを晒して伏線回収しているのが可笑しかった。このメタな展開や絶妙に自主制作っぽい演技と編集に「劇中でもモキュメンタリーとして制作されている感」を感じるのだが、そういうオチはついていなかった。

「撮影して記録に残す」という行為そのものが最大のテーマとなっており、撮影者であるジェイソンは「撮影してる場合じゃないでしょ」「君は傍観者でしかない」と皆から罵られている。本作の劇中劇も編集が加えられたものであり、政府による発表にも事態を軽く見させるための虚偽が含まれている。何かあればすぐに撮影してSNSに上げる習慣がすっかり一般化しているが、撮影者がどこに立脚しているのか指摘するのは、2008年の映画としては鋭い視点な気もする。映画制作者としては普通の話なのかもしれないが。

まだゾンビについて詳しく分かっていない段階でゾンビを轢き殺してしまったメアリー(タチアナ・マスラニー)。彼女は自責感から自殺を図り、ゾンビとして復活を遂げる。「ゾンビに噛まれたわけでもないのにどうして?」と疑問に感じたのだが、よく考えてみれば、“死者が蘇る”というのがゾンビの本質なのか。噛まれてゾンビ化する二次感染の描写にばかり慣れ過ぎていた。ゾンビとの接触がなくても死ねばゾンビ化するとなると、制圧が不可能になりそう。

生き残った者はパニック・ルームに引きこもりエンドだった。問題が起きたら引きこもるのが最善である。ゾンビでなくとも不要不急の外出は控えましょう。“自衛”と“略奪(現在だと買い貯めが該当か)”に境界線の引く難しさは、我々が現在の世界を見ている通り。

頭部に電気ショックを与えてゾンビを殺そうとする攻撃が面白かったが、物理的なダメージを加えなければ効果が薄いようだった。耳の悪いアーミッシュのおっさんは、爆弾や自らを道連れにした串刺し攻撃と、穏やかそうなアーミッシュらしからぬ過激な攻撃性を有していた。

ダイアリー・オブ・ザ・デッド(字幕版)

ダイアリー・オブ・ザ・デッド(字幕版)

  • 発売日: 2018/10/27
  • メディア: Prime Video