オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『デス・ウィッシュ』

Death Wish, 107min

監督:イーライ・ロス 出演:ブルース・ウィリスヴィンセント・ドノフリオ

★★★

概要

強盗に家族を襲われた男が犯人他に復讐する話。

短評

チャールズ・ブロンソン主演『狼よさらば』のリメイク。オリジナル版は全五作のシリーズ化されているようだが、いずれも未見である。イーライ・ロスの監督作品ということで、もっと悪趣味なまでの暴力描写を期待していたのが正直なところなのだが、思っていたよりも抑制の効いた大人しい映画に仕上がっていた。どう見ても“最強のおっさん”なブルース・ウィリスが戦いの素人で、徐々に暴力に飲み込まれていくキャラなのはミスキャストな気がしなくもないが、なんだかんだで格好いいハゲなのであった。なんとなく『キック・アス』みたいな話だった。

あらすじ

犯罪都市シカゴ。銃撃戦による負傷者が次々と担ぎ込まれる病院に勤務する医師のポール・カージーブルース・ウィリス)は、妻ルーシー(エリザベス・シュー)と、NYの大学へと進学の決まった娘ジョーダン(カミラ・モローネ)の二人の美女に囲まれて幸せな生活を送っていた──が、自宅に強盗が押し入り、妻が死亡、娘が昏睡状態に陥る。進展を見せない捜査に業を煮やすポール。義父の「大切なものを守りたいなら自分でやるしかない」という言葉に影響を受けて自警活動をはじめ、犯人へと迫っていく。

感想

復讐譚にするのか悪人退治の話にするのかはっきりしろよ、というのが率直な気持ちではある。暴力の被害者が、自ら暴力に手を染めることにより、暴力をなくそうとする。このシンプルな筋書きでもよかったのではないかと思うが、犯人の一人が(ご都合主義的に)病院に搬送されてくることにより、ポールの暴力の矛先が変化していく。この変化によってスッキリするラストには仕上がったが、暴力の性質を描く映画としてはいまひとつになってしまった印象。

とは言え、銃を手にしたブルース・ウィリスはやはり格好いい。流石は元世界一格好いいハゲである(現はステイサム)。彼がネット動画を見ながら銃の扱いやメンテナンスを勉強するシーンはらしくなくて(他には群馬選出国会議員も推奨のHDD破壊方法も)、新鮮と言えば新鮮だった。銃の販売店の中からあの店を選んだのは、CMにも出演しているお姉さんベサニー(カービー・ブリス・ブラントン)が美人だったからなのだろうか。サムネに写ってたら思わず再生しちゃうよね、分かるよ。接客までしてもらえてよかったな、ポール。たとえ妻が死んだばかりであろうとジョニーには抗えないのだ。

最初の車強盗退治が撮影されていて、ネットで“シカゴの死神”としてバズるポール。満更でもない感じでにんまりと動画を眺める顔が可愛い。

アクション・シーンは大人しめ。美しい血飛沫が見られるのも最終決戦くらいである。代わりに犯人の一人を拷問するシーンが魅力的で、(医者には見えない)ポールが医学部仕込みの“人を死なせずに与えられる最大の苦痛”を加えている。三十郎氏は、人体の専門家がわざわざ説明を加えながら拷問するシーンが好きである。用が済んだら車で頭をグシャッとやる演出は、イーライ・ロスらしい悪趣味さが出ていた。

ポールの弟フランク(ヴィンセント・ドノフリオ。微笑みデブ)がとてもダメそうなやつなので、何かやらかすんじゃないかと心配していたが、普通にいい奴だった。兄に金を返しに来たのに「どうせまた金を借りに来たんだろ」と適当にあしらわれて気の毒だった。

ジョーダンの入学する大学は、入学前の課題でミルトン・フリードマンを読まされるらしい。入門書とかではなく原著だとか。アメリカの大学はハードだな。せめて有斐閣アルマのBasicくらいのレベルじゃないと、ハードルが高すぎて入学前から学問と袂を分かつはめになりそうだが。ジョーダンのリハビリ中にネットで授業が受けられるというサポート体制は流石。日本でもコロナウィルスの流行を受けて新年度から導入が進むという話を聞くが果たして。授業に出席したという実績に満足して夢の世界へと飛び立っていた三十郎氏のような学生は、ログインだけして勉強しないだろうな。

デス・ウィッシュ(字幕版)

デス・ウィッシュ(字幕版)

  • 発売日: 2019/02/27
  • メディア: Prime Video