オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『キョンシー外伝 月光殺人事件』

新月魅影(Moonlight), 88min

監督:ウォン・パッケイ 出演:チェン・ロン、ジャン・ジアナン

概要

容疑者キョンシーの殺人事件を町長の妹と遺体安置所の管理人が捜査する話。

短評

キョンシー詐欺である。映画の冒頭にピョンピョン跳ねる正統派ビジュアルのキョンシーが登場するものの(しかもちゃんとホラー風の演出)、それ以降は一切登場しない。劇中で「キョンシーだ!」と呼ばれる人物のビジュアルと行動は完全にノーマル・ゾンビ型で、しかもゾンビですらないという。キョンシーと道士の組み合わせが出てくるのに、どうしてキョンシー映画にならないのか。ミステリーの体裁を採っているため真相への興味でなんとか最後まで我慢して観られたが、オチも演出もテレビのサスペンス劇場クオリティでしかなかった。

あらすじ

傅田町の新町長に就任した傅。町では一件の警官殺しが発生しており、犯人がキョンシーなのではないかと噂されていた。傅の妹で医学留学帰りの紫雲は事件に興味を持ち、遺体安置所を訪れて遺体の解剖を希望する。安置所管理人の歩一風は反対するものの、紫雲と歩の二人で事件を捜査することになる。そして、新たな警官殺しが発生する。

感想

殺人事件の捜査に町長の妹と遺体安置所の管理人が取り組むとは何事だろう。しかも警官殺しである。警察が最も本気になるべき案件である。町長に「妹は留学帰りだから任せたい。協力してやってくれ」と言われて、大人しく引き下がる警察組織が存在するものか。

実は警察署長の寧が悪人で、骨董商の山本(日本人)と組んで盗掘しているという裏があるのだが、殺人自体には関与していない。むしろ手下として協力していた者が殺されたのであれば、躍起になって然るべきである。だいたい町長も「妹に任せたい」と言ったのに喜々として安置所について来るなんて暇だな。タキシードでもないのに蝶ネクタイをつけている男は信用ならない。働け、公僕!

紫雲とコンビを組む歩一風。道士である。本作がキョンシー詐欺であるとは言え、道士の存在は詐欺の釣り餌として不可欠である。ただ、歩が「父の後を継いだけど、本当は道士なんかやりたくないんだよね。君みたいに留学したい」と弱気なのは新鮮だった。お札とワイヤーアクションを駆使した対キョンシー戦を披露することはなかったが(そもそもキョンシーが出てこないし)、カンフーの使い手ではあるようだった。道士の必修科目である。

地面を掘り起こして死体を見つけた探偵コンビ。死体が腐敗していないことを訝しむ歩に対し、紫雲が「知らないの?低温で気密性が高ければ腐敗しづらいのよ」とドヤ顔で告げる。歩も納得しているが、そこはどう見ても野ざらしの地中である。科学の知識に乏しい三十郎氏ですら、腐敗と白骨化が進みやすい好条件だと推測できる。一体彼女はどこに留学して何を学んで帰ったのだろう。

キョンシー外伝 月光殺人事件 [DVD]

キョンシー外伝 月光殺人事件 [DVD]

  • 発売日: 2014/02/28
  • メディア: DVD