オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ハッピー・デス・デイ』

Happy Death Day, 96min

監督:クリストファー・B・ランドン 出演:ジェシカ・ローテ、イズラエル・ブルサード

★★★

概要

犯人に心当たりのあり過ぎる女子大生が何度も殺される話。

短評

愉快で楽しいループもののホラー映画。ホラー・コメディというジャンルには当たらないはずだが、笑いが良いアクセントになっている。主人公が、何度も殺されて可哀想な美人女子大生……とはならない最低なビッチで、このあっけらかんとした感じが却って気持ちよかったりする。殺されても絶望しても「ざまあみろ」と笑えていたのに、最後には「いいぞ!頑張れ!」と応援していた。(一応ホラーなのに)スカッとする映画だった。

あらすじ

顔は可愛いが性格は最悪な女子大生ツリー(ジェシカ・ローテ。ロース表記とどちらが原音に近いのか)。見知らぬ男カーターの部屋で誕生日の朝を迎え、酷い二日酔いに苦しみながら寮へと戻る。授業に遅刻し、既婚者と逢引し、夜はパーティーに出かける道中で、不気味なマスクマンの襲撃を受けて彼女は死亡する。その次の瞬間、カーターの部屋で目覚めたその日の朝に戻っていることに気付く。

感想

性格が最悪とは言え、酔った勢いで一夜を共にしてくれる美女なんて最高ではないか。そうは言っても、彼女には敵が多い。そこで容疑者リストである(順不同)。寮のボス、ダニエル(レイチェル・マシューズ)。ダニエルの想い人でツリーがキスしたニック。ツリーに手作りケーキを捨てられたルームメイトのロリ(ルビー・モディーン)。一度だけ(サブウェイで)デートしてストーカー化しているティム。ツリーが関係を持っている既婚者の教授グレゴリー、とその妻ステファニー。至る所敵だらけである。三十郎氏としては美女を擁護したいところだが、なんとツリーはビル・マーレイを知らない。最低のビッチである。これで味方はいなくなった。

「命が無限なら犯人探しの機会も無限じゃん」というカーターの提案により、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』方式の犯人探しが始まる。件の容疑者リスト(順番と内容は異なる)を基に偵察や反撃を試みるも、あえなく対処されて、また同じ朝に。ここでループ・ホラーが一旦コメディに転化しているのだが、死んだ分だけ身体にダメージが蓄積しているという設定を設けることで、再びホラーへと回帰する。これは上手い緩急のつけ方だったと思う。命の有限性に気付くことで、それまでは展開の楽しさだけだったのに対し、初めて緊張感が加わるのである。

真犯人は予想通りだったので意外性はなかったが(不在のシーンとロウソクが伏線)、オチに辿り着くまでの二転三転のツイストは上手かった。「こいつが犯人だ!」という確信を得てループ脱出チャンスの機会に辿り着くも、自分以外が殺されてしまったので自ら再ループへ。その回でいい子ちゃんへと更生し、「今度こそは!」と思ったら、また同じ朝。ここでの犯人には心当たりがないので真犯人は別にいると思ってしまうのだが、前述のホラーとコメディと同じく、安堵と絶望で緩急をつけていた。決して怖いホラー映画ではないが、何度も「ひぇ~」と喜べる場所が用意されている。

死亡を繰り返してやけっぱちになっているツリーが、「どうせ忘れられるから」と全裸でキャンパスを練り歩いている。あの回で犯人がドジをしてループ脱出できたとしたら、彼女はどうしたのだろう。仮にツリーが自決する前に犯人が死んでしまったら後戻り不可なのだろうか。男子学生は忘れたくないだろうな。世界線がパラレルだといいのに。

ハッピー・デス・デイ (字幕版)

ハッピー・デス・デイ (字幕版)

  • 発売日: 2019/09/20
  • メディア: Prime Video