オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『TRUE DETECTIVE/迷宮捜査(シーズン3)』

True Detective Season 3

監督:ジェレミー・ソルニエ他 出演:マハーシャラ・アリスティーヴン・ドーフ

概要

兄妹の失踪事件を追う刑事の話。

短評

三つの時間軸が並行して進行し、一つの事件に人生を支配された刑事の姿を描き出した人気シリーズの第三弾。事件の背後にどす黒い存在を匂わせた割には結末が呆気ないところがあるものの、陰鬱な雰囲気の人間ドラマは、特殊メイクも利用して三つの時代を演じ切ったマハーシャラ・アリの独壇場である。それは執念なのか、それとも執着だったのか。事件を捜査した以上は、どのような形であれ“解決”が必要なのが刑事という生き物らしい。こういうハッピーエンドがあってもよいのだな。

あらすじ

1980年。ウィルとジュリーの兄妹が友人の家に出かけたまま家に戻らず、失踪事件となる。事件の捜査を担当するのは、ウェイン・ヘイズ(マハーシャラ・アリ)とローランド・ウェスト(スティーヴン・ドーフ)の二人。1990年。強盗事件で採取された指紋が死亡したとされていたジュリーのものと一致し、事件の捜査が再開される。2015年。記憶障害を患うヘイズは、事件を追うテレビ番組『トゥルー・クリミナル』(ディレクターがサラ・ガドン)の取材を受ける。そして、時を越えて事件の真実が浮かび上がってくる。

感想

シーズン1が大好評、シーズン2がイマイチとのことで、シーズン3ではシーズン1と同じ複数時間軸の刑事もの路線に回帰している。シーズン1は二つの時間軸だったと思うので、本シーズンはもう一つ増えた形になる。

2015年の時間軸で事件が未だに解決されていないことが示されるため、1980年と1990年の二つでは解決に至らないことが最初から明らかなのに、一体何が起きて、記憶障害持ちの老人となったヘイズが事件に固執しているのかと興味を繋ぐ上手い構成になっていたと思う。その“何か”は決して特別なことではなくて、単純な捜査の不備や上層部の都合といったありふれた理由により真相が見逃されてきた。何か衝撃的な出来事がヘイズを囚えて離さなかったのではなく、ただ解決できなかったという事実が彼を事件から解放してくれなかったのだろう。

時間軸を三つにしたことで、ただでさえ込み入った話が更に複雑になっている。そのため、視点がほとんどヘイズに固定されざるをえず、相棒の要素はどうしても薄くなってしまう。老いてからのバディ再結成のアツいはずのシーンがいまいちだったのは残念なところ。情報の整理は上手くいっており、三つの時代と事件が綺麗に繋がる謎解きになっていた。

マハーシャラ・アリ劇場である。この人を出しておけばとりあえず雰囲気は作れる感まで漂っている。1980年と1990年については髪型で区別がつくようになっている。2015年のお爺ちゃんバージョンでは、弱々しくなった姿を象徴するかのような想いを訴えかけてくる時の目が印象的だった。時折老人としては話す速度が早くなったりするのは、彼の中に残された強さの表出と受け取ってよいのか。