オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『バックドラフト2/ファイア・チェイサー』

Backdraft 2, 101min

監督:ゴンサーロ・ロペス=ガイェゴ 出演:ジョー・アンダーソン、アリーシャ・ベイリー

★★

概要

放火調査官が消えたミサイルを追う話。

短評

バックドラフト』の続編である。製作総指揮にロン・ハワードが名を連ねているものの、本国でも劇場公開されていないビデオ映画のようなので、予算もクオリティもお察しというレベル。前作に登場したウィリアム・ボールドウィンドナルド・サザーランドだけが、辛うじて正当な続編であることを感じさせてくれる。せめてあの有名なBGM(料理の鉄人のやつ)くらいは使ってサービスしてくれればよかったのに。ハンス・ジマーに払う金すらなかったのか。もしかして拒否されたのか。

あらすじ

亡き父スティーヴンの後を追ってシカゴ消防署に就職し、火災調査官として働くショーン・マカフレイ(ジョー・アンダーソン)。ハロウィンの日に「トリック・オア・トリート」中の子供たち五人が死亡する火災が発生し、ショーンが調査の責任者に。相棒のマギー(アリーシャ・ベイリー)と調査を進める内に、事件の背後の巨大な陰謀が浮かび上がってくる。

感想

主人公のキャラクターが嫌いである。一匹狼でタフガイ気取りの中二病おじさんといった感じで、見ていて恥ずかしい。「俺は火が読めるんだ」と独り言も多めなのもキツい。その性格が災いして降格と謹慎処分を食らうものの、後になって「やっぱりお前が正しかったよ」というテンプレ通りの展開。不自然なまでの万能さに加えて、周囲を阿呆に設定することで有能に描いてみたりと、キャラクター設定が雑である。マカフレイ家の男という出自も、無理やり挿入したエピソード以外には活かさていなかった。

前作の見所は紛れもなく火災現場そのものと炎との戦いだったと思うが、本作の火事のシーンは激ショボである。これが本当にあの『バックドラフト』の続編なのか。嘘だと言ってくれ。今どきTVドラマでももっと迫力のある映像を撮るだろうに。消防士たちの暑苦しいドラマの代わりに用意されているのはミサイルを巡る陰謀譚である。「もうこれ『バックドラフト』じゃなくてもいいだろ」感が尋常ではない。映像に掛ける予算と同じく脚本に掛ける予算も足りなかったようで、あらゆる意味で“熱”に欠ける映画だった。

ブライアン(ウィリアム・ボールドウィン)は副署長に昇進し、ロナルド(ドナルド・サザーランド)は服役中でショーンのよき相談役になっている。ブライアンはバカみたいにあっさり死ぬし(あの犬はガスの臭いには気付くのに侵入者には気付かないってどうなってんだよ)、ロナルドはレクター博士を意識し過ぎていてイタい。後者の協力さえ得られれば、ショーンは要らなかったんじゃないかな。

まるで良いところが見当たらなくてウンザリしていたら、ぽっと出の犯人がミサイルの炎で焼死する雑なラストで爆笑した。そうだ、これはシリアスな映画なんかじゃなかったんだ。バカ映画だったんだ。納得である。昨夏のサメ映画ラソンさえ経験していなければ一つ星をつけられてだろうに。

監督のゴンサーロ・ロペス=ガイェゴは、過去に『アポロ18』という映画も撮っている。もしかしてロン・ハワード詐欺の専門家なのか。ラングドン教授シリーズの新作を監督するのだけはやめてほしい。

バックドラフト2/ファイア・チェイサー (字幕版)

バックドラフト2/ファイア・チェイサー (字幕版)

  • 発売日: 2019/09/04
  • メディア: Prime Video