オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『屍憶 SHIOKU』

尸忆(The Bride), 88min

監督:リンゴ・シエ 出演:ウー・カンレン、ヴェラ・イェン

★★

概要

封筒を拾っただけなのに。

短評

台湾で赤い封筒を拾っていはいけない、死者と結婚させられてしまうから。こんな話を聞いたことのある読者もいることだろう。三十郎氏もこの話を知っていたので本作に興味を持って観てみたのだが、映画の内容は無理やり心霊ホラー化した都市伝説ものといった感じで、怖くもないし文化的な興味も湧かなかった。テンプレ通りのアジアン・ホラーである。

あらすじ

恋人(ニッキー・シエ)との結婚を間近に控えるTVプロデューサーのハオ。ある朝、ジョギング中に公園で赤い封筒を拾う。制作中の番組の取材でそれが死者との結婚──“冥婚”を意味するものだと知る。

感想

日本人の三十郎氏でも拾っていはいけないと知っている赤い封筒を現地の台湾人が拾うなよ。しかし、とりあえず拾わぬことには話が始まらない。台湾における冥婚は、男性優位の中国文化において未婚女性は墓に入れない(=成仏できない)ため、それを回避するために、遺族が赤い封筒に故人の髪の毛や遺品を入れて、拾った人に無理やり結婚させるという説明がある。三十郎氏としてはこの状況の方が心霊ものよりもよっぽどホラー的だと思うのだが(事実、そのシーンの方が怖かったりする)、そのままやるとホラー・コメディにしかなりえないのか。

じっとりと攻めて湿り気のある幽霊が姿を現すのはアジアン・ホラーの演出面でのテンプレだと思うのだが、訳知り顔の専門家の登場は「洒落怖」的なストーリーのテンプレか。日本だと住職か神主が担う役割を、よく分からない識者が務めている。ハウに対して「最近変なことがなかった?」「女性の霊に取り憑かれていますね」と唐突に告げる女が現れた時には、「あ、こういう人、洒落怖に出てくるよね」となんだか楽しくなった。日本のホラー界隈に見られるテンプレに満ちているのは、本作が日台合作でプロデューサーや脚本に日本人がいるからなのだろうか。キャストにも番組の千葉出身日本人出演者奈々役の池端レイナ(中国語が上手。千葉の特産品に羊羹はあるの?)や田中千絵らの日本人がいる。

この識者がなんとかしてくれるのかと思ったら霊に取り憑かれて死んでしまい、代わりに母から「うちの家系は代々霊感が強いの」と告げられる女子高生のインイン(ヴェラ・イェン)がなんとかしてくれる(なんとかなってない)。霊が見える彼女が怖がるサブプロットは、主人公と識者だけでは間が持たないために無理やり登場させて話を引き伸ばした感があった──が、話自体は上手く収束させて落としたと思う。ペットの犬を亡くしてしまった彼女の友人のワカメみたいな髪型が印象的である。リバイバルでオシャレだったりするのか。

エンドロール前に日中韓仏の四カ国で現在も冥婚の風習が残っていると語られる。日本では、青森や山形、そして沖縄において残っているそうである。

映画とは関係ないのだが、台湾には「〇ン〇ン」という名前が多いのだろうか。本作に登場するインイン、キョンシー退治の道士テンテンちゃん、M字開脚の女王として名を馳せたインリン、そして現在界隈で人気を集めるチアリーダーチュンチュン。この不毛なブログの記事に華やかさを、そして男性読者の心に潤いを与えるため(湿度がウイルス対策でも重要らしいので)、チュンチュンのインスタを掲載しておく。写真集欲しいなあ。

 
 
 
この投稿をInstagramで見る

峮峮Qun🍒(@qun_04)がシェアした投稿 -

屍憶 SHIOKU(字幕版)

屍憶 SHIOKU(字幕版)

  • メディア: Prime Video