オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ワンダー 君は太陽』

Wonder, 113min

監督:スティーヴン・チョボスキー 出演:ジェイコブ・トレンブレイ、イザベラ・ヴィドヴィッチ

★★★

概要

顔の変形した男の子が初めて学校に通う話。

短評

三十郎氏は天の邪鬼としてのエリート街道を邁進してきた、全米が泣いていそうな映画に泣かされることを断固拒否する男である。しかし、三十郎氏も歳を重ねて丸くなった。素直に「良い話だなあ」と感動できるおっさんになってしまった。未だ心の中心に巣食う天の邪鬼氏は「現実はこんなに上手くいかないぞ」と毒づくものの、こんな世界であってほしいし、そうなるように“見る目”を変えていくべきなのだと思う。そんな映画であった。

あらすじ

10才のオギー(ジェイコブ・トレンブレイ)は、生まれつき顔が奇形で、通算27回の手術の受けていた。これまではホームスクールで学習してきたが、母イザベル(ジュリア・ロバーツ)の強い勧めにより初めて学校に通うことになる。その特異な容姿から好奇の目に晒され、イジメを受けるオギーだったが、友人を作り周囲を変える存在となっていく。

感想

正直オギーの話だけなら「よくある良い話だな」で終わっていたと思う。困難に立ち向かう少年の姿は確かに素晴らしいが、きっとそれだけでは天の邪鬼なおっさんには響かない。親友になるジャックが「顔は慣れる」と言っているように、子供は逞しいもので適応も早いのである。

“太陽”たるオギーは両親の愛を一身に受けているが、その影には“惑星”としての地位に甘んじている姉ヴィア(イザベラ・ヴィドヴィッチ)の存在がある。彼女はオギーだけで手一杯な両親に心配をかけられない。いい子でいなくてはならない。それ故に寂しさを感じていたり、新学期に高校デビューした親友ミランダ(ダニエル・ローズ・ラッセル)から突然避けられるようになっても相談できない。お姉ちゃん、大変だなあ……。切ないなあ……。感情移入度は彼女の方が上である。彼女が本当に“いい子”として育ったのも、オギーと同じく奇跡だと思うのである。亡くなったお婆ちゃんが「私にはお前が一番だよ」と言うシーンはウルウル来た。オギーに限らず、周囲にも強さや小さな奇跡が溢れていた。

オギーとヴィアの他に、ジャックやミランダの事情も描かれる。「子供やティーンエイジャーってそういうところあるよね」と納得はいくのだが、あくまでメイン二人の物語の補足要素である。彼らよりも両親について掘り下げてほしかったような気もするのだが(特に父ネート)、子供たちにフォーカスを当てる方が重要だったのだろうか。

イジメっ子のジュリアンには「親がアレな感じ」という設定が用意されていた。遺伝的な部分までは変えられないが、子供は親の影響を強く受けて育つ。彼も、ある意味では被害者なのである。三十郎氏が親になる予定はないが、“周囲の大人”の一人として子供たちに恥じない人間でいたいと思うものである。

視線が気になっていつも下を向いているオギーは、学校案内の生徒の靴を見て“金持ちの子”、“貧乏な子”、“チャラい子”に分類していた。“チャラい子”シャーロットはオギーとは別の形で世界の中心にいるのだが、彼女のような自分のこと以外はまるで興味を持たない人は幸せなのだと思う。自分と周囲を比較するからコンプレックスだったりマウントだったりが生じる。唯我独尊も悪くない。ウザいから関わりたくないけれど。

オギーがしていたパダワン・ヘアー(短い三編み)を、実は三十郎氏もしていたことがある。それも大学生の時に。W杯の時にはそこだけブリーチして青く染めたこともある。今考えると恥ずかしいのだが、どうせ誰も三十郎氏の髪型なんて気にしていなかっただろう。特にイジられることもなく、何かを卒業することもなく、友人と二人で断髪式を行った。

それにしてもジェイコブ・トレンブレイは凄いキャリアを歩んでるなあ。

ワンダー 君は太陽(字幕版)

ワンダー 君は太陽(字幕版)

  • 発売日: 2018/10/26
  • メディア: Prime Video
 
ワンダー Wonder

ワンダー Wonder