オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『犬どろぼう完全計画』

개를 훔치는 완벽한 방법(How to Steal a Dog), 109min

監督:キム・ソンホ 出演:イ・レ、キム・ヘジャ

★★★

概要

ホームレスの女子小学生が身代金目的で犬を誘拐する話。

短評

アメリカの児童文学を韓国で映画化した一作。韓国における車上生活のリアリティのほどは分からないが、アメリカのトレーラーハウス暮らしを置き換えたのだろう。「自分よりも辛い人がいる」というテーマの『ウサギとカエル』なるイソップ童話に対して「作者が私ならこんな話は書かない」と不満がる少女が主人公だが、貧富の格差を強調した話ではなく、心温まる家族ドラマに仕上がっていた。ファミリー向けの平和な話だけに温さや物足りなさを感じる部分はあるものの、何かと不安な今はこういう明るい話を求めていたのかもしれないと感じた。

あらすじ

母ジョンヒョン(カン・ヘジョン)、弟ジソクと共に三人で車上生活を送る女子小学生のジソ(イ・レ)。ある日、「迷い犬を発見したら謝礼金500万ウォン」という張り紙を見つけて息巻くも、その犬は既に発見済み。そこで、自分で犬を誘拐し、自作自演で謝礼金をせしめるという危険な発想にたどり着く。全ては(坪当たり)500万ウォンの家を購入するために!

感想

貧困生活を送る一家だが、父が失踪するまでは裕福だったらしく、ジソはいい学校に通い続けている。親友のチェランに貧乏暮らしがバレてしまい、ジソは「友達をやめても恨まないよ」と告げる。この姿がとても切ないものの、チェランが「やめないよ」と返すシーンがハイライトと言ってもよい。親の意向があったり、他人を見下したい欲求があったりと様々な障害があるはずなのだが、それでも友達でいてくれるなんて素敵ではないか。この得難い親友がいるだけで、彼女は不幸のどん底ではない。

そして、ジソとチェランによる犬の誘拐計画が始動する。標的は、母が(トイレでジソクの身体を洗っているところを見つかって)解雇されたレストランのオーナーの飼い犬。テリア犬のウォーリーである。一日の行動を把握してベストなタイミングを狙い、暗号やブラックライトを使用してやり取りし、更にはピザ屋を脅迫して加担させるなど、小学生とは思えない緻密な犯行計画が面白かった。うまくいかないけれど。

オーナーの親族でレストランの支配人を一応の悪役に設定しているのだが、三十郎氏としては彼への同情を禁じ得ない。遺産目的という不純な動機で働いているとは言え、実際に働いてくれる人間を無視して犬に遺産をというのはいかがなものか。犬は良い所だけを見て褒められるのに、人間は悪い所だけを見て貶される。酷い話ではないか。カネ目当て以外の人が寄ってこないオーナーの人柄にも問題がある。彼が事態を混乱させてくれたおかげで、少し先を読みづらくなっていた。

オーナーは息子を亡くした悲劇の人のような描かれ方をしているが、画家だった息子の作品を全て買い漁って我がものとしてしまうのでは、世に向けて発信したかったであろう本人の意向に反するのではないか。割と身勝手なこの人は、ジソに「ウォーリーはリードを外すと喜ぶよ」と教えられて何か思うところがあるのではないか。ただ、全作品が揃ったというシーンがそれよりも後なのである。

名前の最後に「ソク」がつく人はバカだと言われていたが、誰か三十郎氏の知っている有名人にもいただろうか。歴代の大統領にはいないようだった。

犬どろぼう完全計画

犬どろぼう完全計画

  • メディア: Prime Video
 
犬どろぼう完全計画

犬どろぼう完全計画