オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ストレンジャーズ 地獄からの訪問者』

The Strangers: Prey at Night, 85min

監督:ヨハネス・ロバーツ 出演:クリスティーナ・ヘンドリックス、ベイリー・マディソン

★★★

概要

キャンプ場で覆面集団に襲われる話。

短評

覆面集団の理不尽な暴力に晒される『パージ』感のある一作。こちらは「こいつら誰なんだよ。一体何が目的なんだよ」と思いながら観ているのに対して、「理由が必要?」という清々しいまでの答えを用意していたのが却って好印象だった。覆面という匿名性を守るためのアイテムが、「犯人のことが何も分からない」という状況を引き立てている。対話が不可能な相手は怖い。

あらすじ

素行不良の娘キンジーベイリー・マディソン)の全寮制寄宿学校入りを控え、両親と兄妹の四人一家は叔父の経営するキャンプ場を訪れる。彼らがキャンプ場に到着しても叔父夫妻は見つからず、フロントに「47番を使ってね。じゃあまた明日」という手紙と鍵が残されていた。寄宿学校に厄介払いされそうでスネているキンジーのせいで一家の雰囲気は悪い。そんな彼らの泊まるトレーラーに「タマラはいますか?」と女が訪ねてくる。

感想

冒頭に「実話に基づく」の文言があるが、「これ本当に実話なの?」な話である。観終わってから調べてみると、本作は『ストレンジャーズ/戦慄の訪問者』という映画の続編であり、そちらがケディ事件という未解決事件に基づいているのだとか(もっともそちらも「inspired」程度のようだが)。本作を観るだけでは意味不明一辺倒だった三人組にも各々名前がついているようである。前作を観ればタマラが誰なのかも分かるのだろうか。

続編であることも知らなかった三十郎氏が、数あるホラー映画の中で何故本作を選んだのかと言えば、「主演 クリスティーナ・ヘンドリックス」の文字が目に入ったからである。彼女は大きい(夫が子供たちの前で盛るくらいに)。ついつい気になってしまう。しかしながら、彼女はその巨大な膨らみを一ミリも露出しないまま早々に葬られてしまう。主演だと思っていた女優が最初に死ぬ。ということは、残りの時間は目当ての女優が見られない。二重にショッキングである。

襲撃の描写自体は普通なのだが(プールで血が広がるシーンは好き)、淡々としていることとBGMのポップ・ミュージックとのアンバランスさが印象的である。三人組の中では目出し帽の男が最も不気味で、彼は一言も発さない。一家の父にアイスピックでとどめを刺す前に若干のタメがあるのだが、この時に逡巡しているのか楽しんでいるのか──感情が全く窺い知れない。この意味不明感が良い。

もっとも怖さのピークは序盤のシーンであり、「タマラはいますか?」と訪ねてきた女が「いません」と追い返されて、再度「タマラはいますか?」と訪ねてくるシーン。意味不明感が極まっていて、“何かが始まる”という不安を強烈に感じられる瞬間である。

無事に襲撃を乗り越えたキンジーだが、ノックという日常の音がトラウマスイッチとなったところで映画が終わる。これは犯人の正体も目的も分からずじまいであったことの効果だろう。犯人に結び付けられるものが何もないからこそ、何でも結び付けられるのである。

ストレンジャーズ 地獄からの訪問者(字幕版)

ストレンジャーズ 地獄からの訪問者(字幕版)

  • 発売日: 2019/01/23
  • メディア: Prime Video