オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『容疑者、ホアキン・フェニックス』

I'm Still Here, 107min

監督:ケイシー・アフレック 出演:ホアキン・フェニックス

★★

概要

ホアキン・フェニックスが俳優を引退してラッパーを目指す話。

短評

モキュメンタリーである。ホアキン・フェニックスの引退騒動をリアルタイムで知っていれば楽しめたのかもしれない一作だろうか。本気なのかネタなのか分からないという実験要素が映画の肝だと思うのだが(フェイクだと公表されたのは公開後)、最初からフェイクと分かっていると趣味の悪いコメディにしか見えない。もっともホアキンは本作のためにキャリアのピークとも言える時期を犠牲にしているわけで、俳優業を休みたいという気持ちだけは本物だったのかもしれない。その後は見事にカムバックできてよかったですね。

あらすじ

2008年、『トゥー・ラバーズ』への出演を最後に俳優業を引退し、ヒップホップの世界へ進出すると宣言したホアキン・フェニックス(当時34才)。彼は奇行を繰り返して周囲を困惑させる。本作は、そんな彼の姿をケイシー・アフレックが捉え続けたドキュメンタリーである(大嘘)。

感想

周囲の人々はどの程度信じていたのだろうか。ホアキンにプロデュースを依頼されたショーン・コムズや、脚本を持って彼の元を訪れたベン・スティラーのリアクションは本物なのだろうか。こうやって「本物の部分があるかもしれない」と思わせられてしまった時点で、彼らの策略にハマってしまったことになるのか。

明らかにモキュメンタリーだと思わせるようなところもある。ホアキンの友人兼アシスタントのアントニーやラリーがボカし無しで陰茎を丸出しにしているのに対し、ホアキンだけは決して見せない。この辺りは“作られた映像”感がある(陰茎そのものも作り物だから映せるのか?)。陰茎が出ているシーンはいくつかあり、ホアキンが呼んだコールガールに「まさか勃ってないの?」と罵倒されるシーンもその一つ(コールガールの顔にボカし有り)。なお、ホアキンが尻の穴の臭いに拘りながらサイトで嬢選びするシーンは本作屈指の楽しい瞬間である。

レオナルド・ディカプリオへの嫉妬を見せるシーンが笑える。「どうして『レボリューショナリー・ロード』がノミネートされて『帰らない日々(原題:Reservation Road)』が無視されるんだ」と不満を露わにしている。オスカーの獲得で先を越されたという後日談も笑える要素の一つ。

ホアキンは三十郎氏よりも身長が低いのに『ジョーカー』の時は非常にスタイルよく見えたが、ブクブクに太って髪も髭も伸び放題な本作だとずんぐりむっくりに見える。頭身が同じでもここまで印象が違うものなのか(それでも三十郎氏よりもスタイルよく見えるという悲しい事実)。『ビューティフル・デイ』のジョーは本作のセルフパロディだろうか。『ジョーカー』のテレビ出演シーンも本作のセルフパロディ感がある。

Amazonでは、プライム会員特典、利用不可、レンタル・購入版の三つの形態が全て別商品扱いという映画本編と同じく意味不明な状態になっている。もしかしてジョークなのか。

 

*追記

本日、ホアキンは見事にオスカー獲得。おめでとうございます。この映画からよく返り咲いたものである。しかし、三十郎氏は『アイリッシュマン』の無冠でちょっとスネている。『パラサイト』とポン・ジュノは、マイノリティを飛び越えてアウトサイダーが受賞なのは凄い快挙である。てっきり『1917』で確定なのかと思っていたから驚いた。近い内に観に行こう。

容疑者、ホアキン・フェニックス (字幕版)

容疑者、ホアキン・フェニックス (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 
容疑者、ホアキン・フェニックス(字幕版)

容疑者、ホアキン・フェニックス(字幕版)

  • 発売日: 2020/01/01
  • メディア: Prime Video