オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ドラゴンロード』

龍少爺(Dragon Lord), 103min

監督:ジャッキー・チェン 出演:ジャッキー・チェンシドニー・イム

★★★

概要

ジャッキーが恋にスポーツに悪党退治に大忙しな話。

短評

ストーリーとはほとんど関係ない部分が強烈に面白い一作である。そもそも本作の物語上の核は何だったのだろう。清朝の国宝を巡るあれこれだったのか、ジャッキーと美女の恋だったのか、それとも二つの謎競技だったのか。それらの要素が微妙に絡んだり絡まなかったりで、ストーリーはあってないようなものなのだが、二つの謎競技の圧倒的な魅力で全てを許せてしまう。Lordは中国語で「少爺」なのか……。なんか格好悪いな。

あらすじ

父が見ている時にだけ修行や勉学に励むボンクラ息子のドラゴン(ジャッキー・チェン)。ある日、彼は川で見かけた美女に恋をする。親友と彼女を巡って争ったり、彼女に格好いいところを見せるべく清朝の国宝を密輸しようとする集団と戦ったりしつつ、彼はスポーツに精を出す。

感想

一つ目の競技は、シャトル(羽根つきのボール)を蹴鞠的に浮かせたまま繋いでゴールへ迫るサッカーのようなもの。カンフー的体術をフル活用したストロングスタイルな蹴鞠は、ジェンズと呼ばれる中国の競技をアレンジしたものであるらしい。最初は蹴鞠に似ていると思ったが、この激しさは平安貴族には真似できまい。

この競技が普通に凄い。唐突に試合開始してルールも分からないまま見せられるのに、華麗なシャトル捌きに思わず見入ってしまう。一つ一つのプレイがハイライト級である。三十郎氏は一つのパスも繋げる気がしない。試合の行方はストーリーに全く影響しないのだが、試合終了後にジャッキーが客席に蹴り込んだシャトルがヒロインの顔を直撃してしまうことと、ラスト(前)バトルでキックの動きを思い出す演出があることで、辛うじて本筋との繋がりを維持している。

二つ目の競技は、金饅頭と呼ばれる黄金のラグビーボールを奪い合うもの。竹で組んだ円錐状の頂点に置かれたそれを目掛けて競技者たちが殺到し、櫓が崩れ落ちた後は謎ラグビーと化す。運動会で怪我人が出て中止に追い込まれそうな競技である。櫓から落ちる人がいたり、更に上から降ってくる人がいたり。痛そうである。実際に怪我人も出ているのではないか。謎ラグビーもカンフー的体術を用いたストロングスタイルと化し、これも何をしているのかよく分からないが面白い。

先程「ラスト(前)バトル」と記述したのは、国宝を密輸しようとする悪党とジャッキーの戦いである。ジャッキーがカンフーの達人ではないという設定なので、そこまで特徴的な動きを見せるわけではない。しかし、それをどうでもよかったかのように錯覚させる驚愕の展開が待っている。この戦いをもってストーリーが一応畳まれたかと思えば、唐突に謎ラグビーが始まり、試合終了と共に映画も終劇となる。蹴鞠はストーリーとの一応の繋がりがあったが、こちらには何もない。試合に勝利してヒロインに求愛するわけでもない。謎競技が、ただ謎競技として存在している。

そもそもこの二つの競技は、劇中でどういう位置づけのものなのか。それすらも分からない。しかし、チアリーダーたちの気の抜けた応援歌のように妙に癖になるシークエンスなのである。

ジャッキーの私生活のボンクラぶりは相当なものだった。父親に漢字の書き取りを言いつけられると、自信満々で「やるよ!」と返し、更に自ら追加を申し出ておきながら、直後に「先生、代筆よろしく!」は酷すぎる。無責任の権化である。噂に聞く安倍総理の少年時代もこんな感じだったのだろうか。彼がカンフー的体術を駆使せずに挑むカンニングは、普通に暗記する方が楽そうで、いい感じに本末転倒で笑えた。

ドラゴンロード(字幕版)

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  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 
ドラゴンロード(吹替版)

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  • 発売日: 2018/11/07
  • メディア: Prime Video