オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『霊幻道士』

殭屍先生(Mr.Vampire/Mr.Stiff Corpse), 97min

監督:リッキー・ラウ 出演:ラム・チェンイン、リッキー・ホイ

★★★

概要

縦に埋葬した死体を掘り起こしたらキョンシーになってた話。

短評

かつて日本にキョンシーブームを巻き起こした一作だそうである。と言っても、三十郎氏が物心つく前の話であるため、キョンシーという名前や「前へ倣え」のポーズでピョンピョンする怪物だということくらいしか知らなかった。本作を観て「どうやらゾンビ的な怪物であるらしい」ということは分かったが、死体が風水で復活したり毒でキョンシー化したりと(解毒も可能)、ヴードゥータイプなのかウイルスタイプなのかよく分からないゾンビであった。更には実体化した幽霊まで登場するという非常にとっ散らかったホラー・コメディとなっており、余計に混乱した。

あらすじ

「埋葬から20年後に墓を移送すると運気がよくなりますよ」という風水師のアドバイスに従うヤン。しかし、実は風水師はヤンの父に恨みを抱いており、風水的に危険な埋葬をさせた上で、20年後に呪いから解放してやろうという意図があったのである。ところが、掘り出したヤンの父がキョンシー化。ガウ道士と二人の阿呆な弟子たちがキョンシーに立ち向かう。

感想

本作は“元祖”キョンシー映画というわけではないらしく、キョンシーの存在は所与のものとして扱われている。冒頭(と終盤)に登場する「お客さん」と呼ばれているキョンシーたちが三十郎氏の思い浮かべるキョンシー像に合致するのだが(衣装、ポーズ、動き、お札)、彼らが何者なのかは最後まで分からなかった。他のキョンシーたちはピョンピョンと飛んだり普通に動いたりで、「キョンシーかくあるべし」的な“設定”を理解できる一作ではない。中国の文化圏では広く知られていたであろうキョンシーという怪物を、アクションやコメディと上手くミックスしている。

キョンシーとの戦いは基本的に肉弾戦である。お札をはじめとするそれらしいアイテムも登場するが、それらは封印や最後の仕上げのための仕掛けに過ぎない。中国人は皆カンフーの使い手なのである。欧米で悪魔祓いに挑む神父たちも、悪魔と戦うための武術を修得しておくべきだと思う。このカンフー・アクションが(意外にも)普通に凄い。色ボケの方の弟子センが驚きの身軽さでキョンシーの攻撃をかわしている姿が印象的だった。もちろん一本眉毛のガウ道士も格好いい。

キョンシーについての統一的な設定は理解できなかったが、小ネタとも言える各設定は面白い。キョンシーは人間の呼吸に反応するらしく、息を止めれば目の前にいても襲って来ない(かと思ったら、目が見えるタイプもいる)。ツメで刺されると毒が移ってキョンシー化するが、モチ米で治療可能である(モチ粟は不可)。症状が進行して、ほぼキョンシー化した後でもモチ米の力で元に戻る。おかっぱおじさんのモンは「血が固まらないように」とガウ道士に滑稽な踊りをさせられていたが、これでは毒が全身に回って逆効果になったりはしないのだろうか。

センが交わった相手が幽霊だと判明した後も「でも楽しめた」と言うのには納得。現実だとすっぴん、ネットだと修正前の写真を見ないままの方が幸せでいられるのと同じである。綺麗なレディボーイだって、そうと知らなければ男は幸せでいられるだろう(知っていた方が幸せな人もいる)。他には、ティンがコーヒーの飲み方をしらない道士たちをからかうシーンが可笑しかった。

霊幻道士(字幕版)

霊幻道士(字幕版)

  • メディア: Prime Video