オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『トラジディ・ガールズ』

Tragedy Girls, 98min

監督:タイラー・マッキンタイア 出演:ブリアナ・ヒルデブランド、アレクサンドラ・シップ

★★

概要

いいね!が欲しくて人を殺す女子高生たち。

短評

アサシネーション・ネーション』と比べれば説教臭さがない分だけマシなのだが、正直SNS上での承認欲求を満たすために暴走するというネタ自体には飽きている。本作はコメディなのだが、笑いのツボが合わないのか全く笑えなかった。『デス・プルーフ』や『ファイナル・デスティネーション』から引用したグロ描写もバリエーション不足で物足りず。特にクライマックスがあっさりしているのはいただけない。終わってみれば皮肉の効いた話だったかと思えるけれど、後の祭りである。

あらすじ

ローズデールで起きた連続殺人事件。女子高生のサディ(ブリアナ・ヒルデブランド。『デッドプール』のネガソニックティーンエイジ・ウォーヘッドの人)とマッケイナ(アレクサンドラ・シップ)は、@tragedygirlsというアカウントで事件の情報を発信していた。プロムまでに10万人のフォロワーを獲得したい二人は、犯人ローウェル(ケヴィン・デュランド)を捕獲し、自分たちで殺人を続けていく。

感想

サディとマッケイナは「自分たちは超イケてる」みたいなノリで自信満々なのだが、現地の感覚だと彼女たちはクールなのだろうか。二人ともいわゆる“イケてる”層には見えない。サディはいかにもレズビアンな風貌だし、美人を自称するマッケイナもサディと並ぶと顔がデカくていまいちである。二人がチアリーダーから邪険に扱われる描写もあり、負け組アウトサイダーがつるんでいるようにしか見えない。三十郎氏的にはケント先生(ニッキー・ウィーラン)の方がホットである。外見はともかく、彼女たちが二人でいすぎるところが“イケてる”人たちらしくない。彼女たちが本当にイケてる美少女なら、顔出し&おっぱいチラ見せでフォロワーなんて爆増ですよ。

この自己認識との齟齬が物語に影響を与えてもよさそうなものだが、本作は特にそういうわけでもなくイケイケのまま殺戮を続けていく。三十郎氏のようなおっさんは、いいね!を求める行為に対して何らかの理由や心の隙間のようなものを探ろうとするために、そこに違和感を抱く。しかし、SNSネイティブ世代にとっては理由なんてないのでだろう。いいね!の数を稼ぎ注目を浴びようとするのは、既に所与の価値観となっているのではないだろうか。自分でも読む価値がないと思うような駄記事を量産し続ける三十郎氏とは根本から違うのである。三十郎氏は本作を楽しむには年を取り過ぎているのだ。こんな形で老いを自覚させられるだなんて……。

人が沢山死ぬという点を除けば、普通にティーンエイジャーの青春映画。BFF(Best Friends Forever。日本語だとズットモか)の二人がバカをやり、喧嘩もするけど、やっぱり二人は最高の友達という話である。「え、このオチでいいの?」と一瞬戸惑ったが、内容を問わず炎上商法に専念しているような人が得をするネット上の現象と同じだと考えれば、皮肉の効いたオチなのであった。

ジョーダン役のジャック・クエイドはメグ・ライアンデニス・クエイドの息子なのか。て言うか、この二人は結婚してたのか。アメリカなので様々な年齢の人が高校に通うのかもしれないが(サディと中学から同じという話だったので彼女たちと同世代のはず)、彼は明らかに老けて見えて不自然だった。

トラジディ・ガールズ(字幕版)

トラジディ・ガールズ(字幕版)

  • 発売日: 2019/11/22
  • メディア: Prime Video