オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『男の叫び』

Island in the Sky, 109min

監督:ウィリアム・A・ウェルマン 出演:ジョン・ウェイン、ロイド・ノーラン

★★★

概要

悪天候で不時着した飛行機が捜索隊による発見を待つ話。

短評

劇的な展開が待っているわけではないが、飛行機遭難ものとしてそつなく仕上がっていたと思う。本作は遭難した乗員たちの家族の描写を最小限に抑えて、遭難者と捜索隊に焦点を絞っている。これによりドラマの部分は少し弱くなるが、映画冒頭でナレーションによる紹介があるように、“パイロットたちの物語”を成立させるための必要最小限な構成だった。

あらすじ

ドゥーリー(ジョン・ウェイン)が機長を務める輸送機コルセアのプロペラが極寒により凍りついてしまう(機体が歪んでガンガンと音が鳴るのが怖い)。彼はなんとか不時着を成功させるものの、そこは地図に載っていない未開の土地。外は氷点下40度。見渡す限り周囲は雪と氷である。獲物も見つからず、残りの食料はもって六日間。五機の飛行機による捜索も困難を極める。果たして彼らは生き残ることが出来るのか。

感想

極寒の環境下で生き延びるにはどうすればよいか。なるべくその場から動かないことである。これは『フローズン』でも学んだ通り。本作でもドゥーリーの忠告に耳を貸さず狩りに出かけたロヴァットが猛吹雪に遭い、前後不覚となった末に命を落としている。遭難した時にはヒロイックな精神を捨て去り、我慢に徹する必要がある。

しかし、ただ捜索を待つというのは大変に辛い。それが周囲に何もなく、捜索困難な地域とあれば尚更である。しかし、ドゥーリーは仲間のパイロットたちを信じている。いつも何かムシャついているデブのウィリー・ムーンや、お布団が恋人のマクマレンたちを信じている。そして、その仲間たちも「ドゥーリーのためならば!」と必死である。手掛かりが見つかった時には思わず涙を流すくらいの仲なのである。ドゥーリーが厚い人望を得た経緯が描かれることはないが、この仲間意識が“パイロットたちの物語”ということなのだろう。

遭難ものの定番とも言えるシーンで、遭難者からは捜索機が見えて大喜びするが、捜索機は気付かず飛び去ってしまうものがある。本作にもそのシーンがある。この時、捜索隊の間では「近くを飛んだのなら見つかったはず」という理屈で、該当エリアを捜索対象から除外しようという話が出てくる。合理的である。一方で、無線による通信が繋がっていたため、やはり付近にいるのではないかという疑念も残る。この逡巡はスリリングだった。

このシーンが飛び去る飛行機を見送る遭難者視点の映像だけなのはもったいないと感じた。見送るだけでも絶望感は十分だが、それと同時に「捜索機からどの程度見えづらいのか」が分かると、より絶望感が高まると思う。あの距離感だと、観客から「これなら気付くだろ」という映像になってしまうのだろうか。飛行機映画として飛行シーンは盛りだくさんなので、技術的な問題ではないと思う。

男の叫び(字幕版)

男の叫び(字幕版)

  • メディア: Prime Video