オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』

Winchester, 99min

監督:スピリエッグ兄弟(マイケル&ピーター) 出演:ヘレン・ミレンジェイソン・クラーク

★★

概要

幽霊屋敷で幽霊と戦う話。

短評

ほとんどアクション映画である。ウィンチェスターというのは有名なライフル銃の名であり、その銃を売って儲けたお金で建てた屋敷が舞台の映画なので、当然そこには銃が登場して、最後は銃で決着がつく。ウィンチェスター家の未亡人が取り憑かれたように屋敷を無限増築していくという実話の部分だけでも面白くなりそうなのに、心霊バトルを繰り広げるための設定としてだけ消化してしまった印象である。

あらすじ

精神科医プライス(ジェイソン・クラーク)は、ウィンチェスター社からウィンチェスター家の未亡人サラ(ヘレン・ミレン)の精神鑑定を依頼される。サラは夫と子を亡くして以来、霊媒師の助言に従ってサンノゼに建てた屋敷を増築し続けていた。「あいつは頭がおかしいから議決権を取り上げてくれ」というわけである。屋敷を訪れたプライスに対し、サラは「銃で殺された者の霊を鎮めるために必要なの」と語る。

感想

プライスが屋敷に着いて早々に悪霊を見せてしまったのは失敗だと思う。悪霊系のホラー映画なので最終的に霊が原因というのは仕方がないのだが、せっかく現実に存在する不気味な屋敷を舞台にしているのに、屋敷やサラの異常性を活かすことなく最初から「人間vs悪霊」の構図にしてしまうのでは意味がない。この時点で他の映画との差別化に失敗し、その後も挽回されることはなかった。

最初からドーン!と悪霊が登場するので、ジワジワ来るようなシーンは全く無い。無限増築を続けるという意味不明な屋敷についても、その中で迷ったり発狂したりするような屋敷そのものが持つ恐怖を感じさせる描写はなかった。サラの言う通り殺された時の部屋を再現して霊を呼び出し、その通り霊が現れるだけである。その中に特別悪い奴がいて対決するというのもありきたりだが、問題は“巻き込まれ感”の薄さだろう。自分で呼び出しているのだから怖がっている場合ではない。

対決シーンでは悪霊が大量の銃を操るので、霊というよりもマグニートーみたいだった。屋敷が崩れたりするシーンも迫力たっぷりなアクション映画である。

サラは「最も純粋な者に悪霊は取り憑く」とかなんとか言っているが、それが分かっているのならヘンリー(姪マリオンの息子)を屋敷に住ませるなよ。金ならいくらでもあるだろうに。彼女の語る内容が真実だったというオチなので彼女は精神鑑定をクリアするのだが、三十郎氏に言わせれば判断能力は非常に怪しいと思う。

「素材を上手く活かせなかった」の一言に尽きる一作だと思う。この屋敷自体には相当な魅力があり、モデルとする作品も媒体を問わず多数製作されているようなので、中には当たりがあるのかもしれない。