オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ザ・スクリブラー』

The Scribbler, 89min

監督:ジョン・スーツ 出演:ケイティ・キャシディ、ミシェル・トラクテンバーグ

★★★

概要

多重人格の女が謎の機械で謎の能力を獲得する話。

短評

グラフィックノベルが原作の映画である。グラフィックノベル原作の映画と言えば『シン・シティ』を思い出すが、コミックよりも題材がダークだったり複雑なものをノベル扱いするらしい。日本語の「漫画」も「『漫』の字が気に食わん!」という漫画家はいないのだろうか。本作もパッケージはアメコミ映画的なビジュアルだが、中身はサイコ・スリラーみたいな話である。

あらすじ

主人公のスキ(ケイティ・キャシディ)は多重人格である。彼女は“重複脳焼滅装置”を使用して治療を続けながら、精神病の患者たちが集まるマンションに引っ越して新生活をはじめる。ところが、そのマンションで立て続けに飛び降り自殺が発生する。

感想

ヒーロー映画的な部分はメタファーということなのだが、いまいちピンと来なかった。女性捜査官は「彼女の話は隠喩よ」と言うが、スキの語る全てが空想というわけでもなさそうである。現実との境目が分からないので、話についていきづらい。話についていけないので、隠喩が意味するところは更に分かりづらい。結局、何故骸骨スーツを着たのかという疑問と、おっぱいだけが印象に残った。

多重人格者が主人公(=語り手)ということで、「飛び降り自殺していく人物たちはスキの別人格なのかな?」とか「アリスとスキは同一人物なのかな?」と疑いながら観ていたが、そこまで素直な展開ではなく、もっと素直な展開だった。

スキが引っ越してきたマンションの住人たち。“セックス依存症”のクレオジーナ・ガーション)は「もう少し若ければ……」と思わなくもない。彼女がミルク風呂に浸かっているのを見せられてもあまり嬉しくない。対して、“衣服恐怖症”のエミリー(アシュリン・イェニー)は大変に眼福である。人間の身体は美しいのだ。布なんかで隠してしまう必要はないのである。世界中に衣服恐怖症の女性がもっと増えますように。他にもウサ耳ちゃん(サーシャ・グレイ)や黒づくめの女(ミシェル・トラクテンバーグ)に囲まれて、ホーガンは乾く暇がなかっただろう。たとえ異常者だらけでも引っ越したくないマンションである。スキ役ケイティ・キャシディの乳首ピアスのついたおっぱいも素敵だった。ちなみに、女性捜査官(エリザ・ドゥシュク)も美人。

スキが壁に走り書きした大量の鏡文字を見ると、美術担当班の苦労が偲ばれる。注意して見ると鏡文字になっていないミスがあったりしないのだろうか。あれだけ大量に鏡文字を書けば、アルファベットがゲシュタルト崩壊して普段の生活に影響が出そうである。女優が書いているシーンでは文字の形状が乱れているので、流石にそこまでの統一感は出せなかったか。とにかくご苦労なことである。

ザ・スクリブラー(字幕版)

ザ・スクリブラー(字幕版)

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