オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『サバイバーズ』

Dağ(The Mountain), 85min

監督:アルパー・カグラー 出演:カグラー・アートグルール、ウフク・バイラクター

★★

概要

トルコ軍の兵士が雪山で襲撃される話。

短評

プロパガンダ臭が強めのトルコ映画。そこそこ熱血である。敵は現地ゲリラとなっているが、仮想敵は誰なのだろう。クルド人辺りでよいのだろうか。三十郎氏はトルコの情勢に詳しくない。トルコ以外の情勢にも詳しくない。これがハリウッド映画であれば「敵は全部イスラム教徒」で片付いてしまうのだが、トルコだと何のために誰と戦っているのかよく分からない。と言っても、あまりほとんど戦うことなく逃げるか隠れるかしている話であり、映画の半分くらいは入隊前の回想シーンだった。

あらすじ

雪山の頂にある通信設備修復のために派遣された部隊。ゲリラの襲撃を受けて上官たちが死亡し、若い二人が生き残る。大卒のオーズと低学歴のべキールが互いに反発しながらも任務をこなし、本隊との合流を目指す。

感想

冒頭で「トルコ軍に捧ぐ」的なテロップが入り、主人公に「兵役こそ俺の幸せ」と言わせるタイプの映画である。エンドロールでは、おそらく戦闘で命を落としたのではないかと思わる兵士たちの名前が大量に出てくる(本作はフィクションなので劇中の作戦で命を落としたというわけではない)。まあ、そういう映画である。

トルコの兵役制度についての描写が興味深かった。トルコ人男性にとって兵役は義務であるが、お金を払えば回避可能とのことである(主人公オーズは「それでも俺は行くんだ!」的なキャラ)。経済的徴兵制という言葉もあるが、これだけあからさまな富裕層優遇の場合は何と呼ぶのだろう。

三十郎氏の教養不足により戦いの目的が見えず、プロパガンダ要素も好きになれない。オーズとべキールのバディ・ムービー要素は「戦場で何やってんだ」感がある。それでも少ないなりに戦闘シーンは緊迫感があったように思う。

圧倒的に有利な状況なのに標的を外し過ぎな狙撃兵。調子にノッてパンパンやっているのに一向にとどめを刺すことなく、背後から救世主的に登場するトリグル中尉の華麗なナイフキルの餌食になる姿は、FPSの初心者を見るようで笑えた。かつて三十郎氏も通った道である。戦場に出るとすぐに撃たれて死ぬので嫌になり、それならば敵に撃たれない距離から撃てばよいという短絡的な思考でスナイパーを選ぶ。なんとか1キルを達成して喜んでいると、次の標的を探している間に背後から殺される。この当然の帰結を避けるため、『アメリカン・スナイパー』にも見られるように米軍のスナイパーたちには相棒がついている。やはり彼らは合理的である。

トリグル中尉は雪山用の真っ白な服を着て登場するのに、オーズたちが緑色の迷彩服を着ているのは何故だろう。雪山では却って目立つ。銃を携帯している以上は戦闘も想定しているだろうに。

オーズの恋人ペリン(ゴッデ・マトルアー)のおっぱいの大きさと露出度が反イスラム的な疑いがある。トルコは飲酒もできるようなので、宗教的には割と緩めなのだろう。そうでなかったら厳重に隠す必要がある。オーズは病院で「看護師がいい乳をしていた」とも発言しているので、間違いなくおっぱいジャンキーである。べキールはスーパーの店員を口説こうとして「興味ないの」と足蹴にされているにも関わらず、友人たちには「店長に邪魔されなければいけてた」と強がっている。虚しいホモソーシャルである。

エスケイプ・フロム・イラク』という映画が本作の続編らしい。

サバイバーズ(字幕版)

サバイバーズ(字幕版)

  • 発売日: 2018/05/11
  • メディア: Prime Video