オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『MAMA』

Mama, 99min

監督:アンディ・ムスキエティ 出演:ジェシカ・チャステインニコライ・コスター=ワルドー

★★★

概要

幽霊に育てられた少女たち。

短評

ママの姿が見えないシーンの雰囲気や、過去と現在が繋がる悲しいドラマ(製作総指揮のギレルモ・デル・トロが好きそうな題材)は好きなのだが、ママのビジュアルと動きがどうしても笑わせにきているとしか思えないホラー映画。監督のアンディ・ムスキエティは『IT/イット』シリーズの監督なのだが、彼が描いたペニーワイズもグロテスクではあるが不気味な怖さがないという点で本作と似ていると思う。ビックリさせようとしてドタバタしているのである。

あらすじ

株価暴落に激怒して共同経営者を射殺した男が二人の娘を連れて逃亡する。雪道を暴走してスリップし、坂を転落した先で見つけた小屋に落ち延びる。男は無理心中すべく娘を撃ち殺そうとするが、背後から忍び寄る“何か”に連れ去られてしまう。時は流れて、男の弟ルーカス(ニコライ・コスター=ワルドー)の捜索により二人の娘ヴィクトリア(ミーガン・シャンパルティエ)とリリー(イザベル・ネリッセ)が発見される。ルーカスの転落事故により、二人は彼の恋人アナベルジェシカ・チャステイン)と生活することになる。

感想

ジェシカ・チャステイン演じるアナベルは、目の周りが真っ黒なパンク娘である(このメイクがパンク・ファッションなのかは不明。ロック的なファッションの定番であるジーンズとタンクトップの組み合わせは、腰回りが豊満過ぎて似合っていない)。腕にはがっつりタトゥーが入り、バンドではベースを担当している。ギターやボーカルではなくベースを弾くと“音楽分かってる感”が出せる。

「恋人の姪だから」と仕方なく二人の面倒を見ていた彼女だが、二人との間にやがて信頼関係が生まれ、母性に目覚める。この母性はママにも共通するものであり、その共有が物語の悲劇性を高めている。幽霊が恨みで行動する怨霊ではないという点が、本作の最大の特徴だろう。幽霊が出てくるしバタンと驚かせる、いわゆるホラー映画ではあるのだが、恐怖よりもドラマが強い作品である。

印象的だった演出が二つ。一つは、家の壁を使って画面を二分割しているシーン。廊下でアナベルが普通にしている一方で、子供部屋ではリリーがママと布を引っ張り合って遊んでいる。ここでママの姿が見えないのもポイントである。この“引っ張り合い”という要素が何度か繰り返されて、終盤に活きてくる。

もう一つは、ヴィクトリアが眼鏡っ娘であるというもの。別に三十郎氏が眼鏡っ娘萌えなわけではない。可愛かったけど(特に幼少期を演じているモーガン・マガリーが)。父親が連れ去られる際にヴィクトリアは眼鏡を外しているので、彼女の視点ではママの姿がボヤけている。三十郎氏は、少なくとも序盤には幽霊なり怪物なりの存在を明かしてしまうべきではないと考えているので、これは上手かったと思う。本作は幽霊がいるのかいないのかで気味悪がらせるのではなく、その幽霊の背後にあるドラマに重きを置いている。ハッキリと姿を見せることなく、存在自体は明確にしておく好演出だったと思う。

Mama (字幕版)

Mama (字幕版)

  • 発売日: 2014/06/04
  • メディア: Prime Video