オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ヒューマン・ハンター』

The Humanity Bureau, 94min

監督:ロブ・キング 出演:ニコラス・ケイジ、サラ・リンド

★★

概要

ニコラス・ケイジがカナダを目指す話。

短評

ポスト・アポカリプスとディストピアの組み合わせだが、世界観を掘り下げるような無粋な真似は一切しないニコラス・ケイジ主演作。彼の他の主演映画と同様に「味付けが物足りない時にとりあえずかける醤油」の如く時々アクション・シーンが挿入されるロード・ムービーである。もちろんヒューマンをハントもしない。最大の発見は、『TRANSPORT トランスポート』に出演していたサラ・リンドの現在の姿を確認できた点だろうか。あの超低予算映画からしぶとく生き残っているらしい。

あらすじ

経済破綻と気候変動により荒廃した社会。アメリカには人民省が創設され、「生産的であれ」「怠慢は犯罪」「消費量よりも多く生産するのが義務」といった法律が施行されていた。人民省に務めるクロス(ニコラス・ケイジ)は、生産力が基準に達しない市民を楽園たる“ニュー・エデン”に送る仕事をしていたが、その秘密を知ってしまい、担当中のレイチェル(サラ・リンド)とルーカスの母子を連れてカナダを目指して逃亡する。

感想

本作で描かれている世界は自己責任社会の成れの果てのようなところがある。その価値観が単独で成立しているのではなく、資源の不足によって市民に押し付けられているという点は、現実社会と重なるようで面白い。再分配の問題をないことにしたい支配層のために、弱者どうしで争わせる構図はいかにも風刺である。ただ、その面白いテーマについての掘り下げは一切ないし、ニュー・エデンを巡る壮大な陰謀を解き明かす『ソイレント・グリーン』的な話でもない。ニコラス・ケイジが逃げるだけの話である。

映像的にもかなり安っぽく、車内のシーンは古い映画のように別撮りの映像を背景にしているかのような違和感があった。序盤に出てくるドーロンのCGの質感も酷い。ニコラス・ケイジが出演していなければ、まず観ることはない。それ以前に、この映画の存在自体に気付くことがなかったと思われるレベルである。そこにニコラス・ケイジが加わることで、一部の人間の興味を惹き、時間を無駄にさせることができるのだから、やっぱりニコラス・ケイジは凄いのだ。

カナダとの国境付近は放射能に汚染されているという設定になっており、ルーカスが「髪の毛が抜けてない?」と心配している。おい、失礼だろうが。誰に訊いていると思ってるんだ。髪の毛の話はやめなさい。本人は知らないのだが、実はルーカスはクロスの息子である。つまり彼は放射能の影響如何に関わらず、遺伝的に髪の毛が抜ける運命にある。気にしたって無駄だし、気にするとストレスで禿げるぞ。

ルーカスが転落して気絶しているところに、クロスが駆け寄って心臓マッサージを施して蘇生する。三十郎氏は医療に詳しくないのだが、これって意味あるの?

ヒューマン・ハンター(字幕版)

ヒューマン・ハンター(字幕版)

  • 発売日: 2018/09/05
  • メディア: Prime Video