Seeking Justice, 105min
監督:ロジャー・ドナルドソン 出演:ニコラス・ケイジ、ガイ・ピアース
★★
概要
復讐を他人任せにしてはいけない話。
短評
代理殺人の連鎖というアイディアだけで無謀にも発進したために、とにかく細部の詰めが甘い、を通り越して全く考えられていないレベルの映画である。メインのプロットがどうしようもないので、展開や細かい箇所にも不必要な描写な矛盾だらけ。「これぞニコラス・ケイジの映画だな」という感じである。本当はそんな俳優じゃないはずなのに。
あらすじ
妻(ジャニュアリー・ジョーンズ)を強盗強姦された男ウィル(ニコラス・ケイジ)に、病院で坊主頭の男が声を掛けてくる。男の名はサイモン(ガイ・ピアース)。サイモン曰く「犯人の居場所を知ってますよ。私が解決してあげましょうか。お礼は後でちょっとした頼み事を聞いてくれるだけでいいですから」。 ちょっとした頼み事で済むはずがないのである。
感想
ウィルに指示を出すサイモンの付きまといっぷりが凄い。完全にストーカーである。そんなに暇なら自分でやれよ。組織の主犯格が実行犯にこんなにも頻繁に接触していれば、わざわざ実行犯を標的とは無関係の人間にバラけさせる意味がなくなってしまう。「全ての道はサイモンに通ず」状態である。
そこには一応カラクリがあって、警察内部にも組織の協力者がいるために事件の捜査があやふやになっているのだが、それだと余計に関わる人数を増やす必要性がなくなる。証拠を握られてマスコミに持ち込まれたら大変ではないか(本作ではそこから組織に綻びが生じる)。警察を抑えているのなら、やはり自分でやればいいだけという話に帰着する。どうしようもない阿呆集団である。
敵は阿呆だし、ニコラス・ケイジはいつものダメなニコラス・ケイジだし、とにかく退屈だったのだが、妻ローラを演じているジャニュアリー・ジョーンズは美人だった。唯一の収穫である。逮捕後に警察署から脱出したウィルが彼女に会いに行くのだが、妻の身元なんて真っ先に警察が抑えておくだろうに。警察も無能が極まっている。
冒頭で描かれている祭りはマルディグラではないかと思う。“おっぱい祭り”として有名なニューオーリンズ名物である。本作ではおっぱいを放り出す女性が残念ながら登場しない。これではマルディグラの意味がない。別の祭りなのか。