オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『快楽の漸進的横滑り』

Glissements progressifs du plaisir(Successive Slidings of Pleasure), 106min

監督:アラン・ロブ=グリエ 出演:アニセー・アルヴィナ、オルガ・ジョルジョ=ピコ

★★

概要

おっぱい殺人事件。

短評

タイトルがやたらと格好いいアラン・ロブ=グリエの監督第五作。劇中で登場人物が発する「あなた少し遊びすぎよ。類似、繰り返し、置き換え、模倣。もう沢山」という言葉の通りに「もう沢山」という感じで、最初は意味不明で新鮮だった前衛映画にもそろそろ飽きてきた。三十郎氏の目に映るのはおっぱいばかりである。しかし、これは飽きとは関係なく、全編がおっぱいな映画なのである。

感想

殺人事件を軸にプロットが組み立てられているが、ミステリーとは呼べない程度に物語的な何かが事件とは別の場所に着地する映画である。倒錯的なエロスはこれまでの作品を上回り、いよいよ変態感が極まってきた。『エデン、その後』では吸い込むだけだった生卵を生身のマネキン状態の女優の身体に割り落としてみたり、身体に赤い絵の具を塗って女拓をとってみたり、おっぱいにお絵かきしたりと、やりたい放題である。もちろん緊縛や牢屋、血糊、レズビアンといったお馴染みのモチーフも登場する。これはアートなのか、ただの変態的エロなのか、それともエロ=アートなのか。

ノラ兼弁護士役のオルガ・ジョルジョ=ピコのおっぱいは、いかにもシリコンな異物感があった。対するアリス役のアニセー・アルヴィナはプリンとした素敵なおっぱいとお尻である。彼女は取り調べを受ける最中に服をはだけさせておっぱいを露出したりと、何の意味があるのか分からない場面でも肌を見せつけまくる。大変に桃色なはずなのだが、三十郎氏の脳のエロを感知する部分が、困惑を司る部位の働きにより抑えつけられてしまった。何を考えているのか分からなすぎて、「エロい」と言うよりも「怖い」に近い。

この種の映画を観ていると疑問に思うのだが、果たして演者たちは監督の意図を理解しているのだろうか。意味不明なシーンが多すぎて、「わたしは今、何をやらされているんだろう……」とか考えないのかなと思ってしまう。内心戸惑っていたりしないのか。監督は演出の意図を説明した上で演技させているのだろうか。理解できていたら凄いと思うし、わけが分からないままに演じているとしても、それはそれで凄いと思う。

イザベル・ユペールが出演してるらしいが、どの役だっただろう。

ロブ=グリエには計10作の監督映画があるようだが、プライムビデオで配信されているのは残り一作品。深追いは禁物である。生卵に興奮する男になってしまっては、日常生活に支障をきたす。

快楽の漸進的横滑り

快楽の漸進的横滑り

  • メディア: Prime Video