オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン』

Revenge of the Green Dragons, 93min

監督:アンドリュー・ラウ、アンドリュー・ロー 出演:ジャスティン・チョン、レイ・リオッタ

★★

概要

ニューヨークの中国系ギャングの話。

短評

製作総指揮にマーティン・スコセッシが名前を連ねた一作である。この宣伝形式の映画の外れ率はアットホームな職場がアットホームでない確率よりも高く、本作も例外ではない。監督のアンドリュー・ラウは『インファナル・アフェア』を撮った人なのに。本家とリメイク版の魅力的なタッグのはずなのに。設定とプロットだけはスコセッシ好みっぽかったので、オスカー受賞のお礼に名義貸ししたのだろうか。キャラクターの掘り下げが高瀬川よりも浅く、ありうべきドラマがどこにもなかった。

あらすじ

1980年代。中国から密入国した少年サニーは、スティーヴンと共に半ば強制的にクイーンズを拠点とするギャング、青龍(グリーン・ドラゴン)に入団させられる。二人は殺し(綺麗な殺し方の作法:銃は使い捨て、白人は殺さない、目撃者も殺す、頭を撃ち抜く)とギャングとしての生き方を学び、青年へと成長する。

感想

犯罪以外に身を立てる手段がない世界の話である(もっとも身を立てないし、底辺で這いずり回ることもない)。それ自体は大好物のネタなのだが、どうにもキャラクターに魅力がなさ過ぎる。主人公サニーを演じるジャスティン・チョンは『21オーバー』に出演していたひ弱な青年で、ギャングの役があまりにも似合わない。エンドロール前に出てくる実在の人物二人はよく似ている外見のキャスティングだったので、頼りなさが映画的に魅力的でないだけで、もしかすると彼がリアルなのかもしれない。

観客を映画の世界に引きずり込むような主人公はいない。となると物語で引き込む必要があるが、本作の物語は非常に断片的である。ギャングの世界や抗争を扱いながらも、その細部が描かれていない。表面的な暴力やイベントだけを取り上げて、「報應」という言葉で無理やりまとめようとして失敗した印象である。実話ベースの割には明らかなフィクションが多く、その割には盛り上がらない。もう少しギャングの世界の上下関係や対立構造、社会との関わりが見えるような構成ならよかったのに。

劇中で最大の事件が「現場に居合わせた白人殺し」というのがなんともショボいが、これは差別的な状況を反映した皮肉と言えるだろう。

暴力的な描写は多いが、印象に残るような暴力はない。もし印象的な殺し方があれば、キャラクターの掘り下げが浅くても人間性や残虐性が象徴されて魅力的になったりする余地はあったと思う。

レイ・リオッタはFBIである。ギャングでも悪徳刑事でない。真っ当に捜査し、逮捕時に「彼女もアメリカ市民なんだから丁寧に扱え」と命じるような善人である。これも似合わない。

て言うか、ポスターの人は誰?

リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン(字幕版)

リベンジ・オブ・ザ・グリーン・ドラゴン(字幕版)

  • 発売日: 2015/09/02
  • メディア: Prime Video