オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スリープレス・ナイト』

Sleepless, 94min

監督:バラン・ボー・オダー 出演:ジェイミー・フォックスミシェル・モナハン

★★

概要

25キロのコカインを巡る四つ巴。

短評

様々な勢力が絡み合う重層的な構図になり切れなかった一作。アクションシーンはありきたりではあっても迫力があるし(粉で真っ白になって戦うシーンが笑える)、キャストもそれなりに揃っているのに、もう少し展開に工夫ができなかったのだろうか。人間関係の複雑さの割には話が一直線である。フランス映画のリメイクだそうである。ポスターの種類によっては、ドン引きするくらい全力でネタバレしているものがあるので注意……するほどの映画でもないか。

あらすじ

大量のコカインを強奪したダウンズ(ジェイミー・フォックス)と相棒のキャス。彼らは警察である。「自分で捜査を担当すれば証拠を好きにできる」と捜査現場に赴くが、内務調査官のブライアント(ミシェル・モナハン)に「あいつら、怪しいな」と睨まれる。その上、コカインはカジノ王(=ギャングの下請け)ルビーノの持ち物で、ダウンズは息子を誘拐されてしまう。ギャングの世界にも上下関係があり、ルビーノはルビーノでノヴァク(スクート・マクネイリー)という更に怖い奴にコカインを渡さなければならない。汚職刑事、内務調査官、準ギャング、純ギャングの四つ巴である。

感想

主人公が内務調査官とギャングの両方から追われてどん詰まりという設定は面白い。人質と交換で返却しようと隠しておいたコカインを、ブライアントが先に見つけて持ち去ってしまう辺りまではとても良い。ただ、ルビーノとノヴァクの上下関係がさほど活きてこないため、四つ巴ではあるが実質的に三つ巴である。実は既存勢力の中に別勢力もいたりして……と二転三転な展開もあるのだが、ほぼ外野でドタバタしているだけなので、主人公の行動にそれほど変化を与えられていなかったのではないかと思う。結局の所、普通のアクション映画に終始していた。

ジェイミー・フォックスがとてもタフだった。彼は黒人相手には弱く、白人相手には滅法強い。彼は息子を拉致される際に、グサッと一撃を腹にもらっている。時々苦しむ描写も入るが、基本的には元気に暴れ回っている。果たして腹を刺されるという設定は必要だったのだろうか。その後の展開には特に活かされてないし、刺さりどころが悪くてそのままそのまま死んでしまったり、自分で動けず病院に担ぎ込まれたらコカインを回収できない。盛り上げようとするのは結構だが、それが引っ掛かって逆効果ではいけない。

果たして主人公が良い刑事だったというオチは必要だったのだろうか。綺麗におとした感じになっているが、悪い奴が悪い奴なりに息子のために奮闘する話として見ていたのに、最後に「俺は善人なんだよ」と言われても拍子抜けである。別に悪人だからといって感情移入できないことはない(これはかのヒッチコックも言っている)。ジェイミー・フォックスは「善人役じゃないと僕ちゃんのキラキラなイメージに傷がついちゃうの」みたいなアイドル俳優でもないだろうに。むしろちょいワルなアウトロー役でこそ輝くだろう。

綺麗におとしたのに「続編もありうるよ」という展開は果たして必要……なかったな。

スリープレス・ナイト(字幕版)

スリープレス・ナイト(字幕版)

  • 発売日: 2018/06/22
  • メディア: Prime Video