オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『アメリカン・アサシン』

American Assassin, 111min

監督:マイケル・クエスタ 出演:ディラン・オブライエンマイケル・キートン

★★

概要

テロリストに恋人を殺された男がCIAに入る話。

短評

シリアスなスパイ・アクション風を装っているが、実態は主人公が好き勝手に暴れるだけの映画である。「好き勝手に暴れるだけならコメディ寄りにすればいいのに」と三十郎氏は思うのだが、世の映画製作者は同意しないらしい。見ていられないほど酷いわけでもないが、特に褒められるようなところもないタイプである。『スクランブル』と同じく、「中学生の頃なら格好いいと思えたんだろうなぁ……」という残念さがある。『アメリカン・〇〇』というタイトルの映画が必ずしも面白いわけではないらしい。

あらすじ

美人で巨乳の恋人カトリーナシャルロット・ヴェガ)へのプロポーズに成功した直後、彼女を無差別銃撃テロで失ったラップ(ディラン・オブライエン)。彼はテロリストへの復讐を誓い、アラビア語を覚え、MMAと射撃の訓練をし、敵組織へ潜入を果たす。ところが宿敵まであと一歩というところでCIAが突入してくる。潜入の腕を買われたラップはCIAにスカウトされる。鬼教官ハーリー(マイケル・キートン)にシゴかれ、同僚のアニカ(シヴァ・ネガール)たちと共に任務に挑む。

感想

第一の失敗は、カトリーナを殺したテロの首謀者をCIAに殺させてしまった点だと思う。これにより、ラップが“どうしても復讐しなければならない”相手がいなくなってしまう。彼がCIAに入る目的も不明瞭になるし、彼がテロとの戦いを志すのならば指示を無視して好き勝手に暴れ回る理由もない。彼は何をやってもなんとかなるタイプの中二病系主人でしかない。

ハーリーは気の毒な立場の中間管理職である。情緒不安定なラップを使いたくなくても、彼をスカウトした女上司のお気に入りの美男子であるために、任務に参加させることを強要されている。当然、任務は計画通りにいかない。しかし、ラップの指示無視行動が結果を出して女上司の寵愛は深まる。レアル・マドリードの監督みたいである(日本だとヴィッセル神戸か)。「俺はこんな奴を欲しいなんて言ってないのに……」という彼の心の叫びが、三十郎氏には聞こえてきた。もっとも彼はダークスーツに白のソックスを合わせてしまうようなお茶目なおっさんなので、ただ無能なだけなのかもしれない。

ハーリーたちのチームは核爆弾を追っているのだが、実はこの裏にかつてハーリーが育てたゴースト(テイラー・キッチュ)と呼ばれる男が関わっている。彼がラップを“新しい俺”と呼ぶように、全てがアメリカの自作自演なのである。他の国を巻き込むなよ。この辺りがタイトルの「アメリカン・アサシン」要素なので、もう少し深く掘り下げてほしかった。しかし、この要素を描くために第一の失敗を犯さざるを得なかったわけで、なんとも言い難い。

ラップの特徴のない顔はスパイらしいとも言えるが、ゴーストの方が主人公顔である。白人男性=主人公の刷り込み効果は強い。

VRの訓練が楽しそうだった。三十郎氏もダメージを弱めにして体験してみたい。ただ、武器を確認せずにアラブ系だけを疑うのは訓練の内容としていかがなものかと思う。アメリカ国内ならまだしも、敵地に乗り込んだ時に役に立たないだろう。

ローマを舞台にしているシーンがあり、ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念堂が映っていた。我ながらヴィットーリオ・エマヌエーレなんて名前をよく覚えていたものだと思う。

アメリカン・アサシン(字幕版)

アメリカン・アサシン(字幕版)

  • 発売日: 2018/10/24
  • メディア: Prime Video