オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ハウス・シャーク』

House Shark, 111min

監督:ロン・ボンク 出演:トレイ・ハリソン、ウェス・リード

★★

概要

サメの住む家。

短評

ネトフリちゃんに浮気している間に本妻プライムビデオのウォッチリストが溜まってしまった。まずはサメ映画である。観ておきたい映画ではなく観なくてもよい映画を観ることで「帰ってきたなぁ」と実感できる。本作は、“家にサメが出る”という出オチ的シチュエーションに相応しい安っぽさと強烈な不条理感で笑わせてくれる一方、時間が長過ぎて「早く終わってくれ」と願わずにはいられない。実にサメ映画であった。

あらすじ

警察を辞め、妻に逃げられたフランク。息子をシッターに預けてネットで知り合った女とのデート中、全裸で排便しながら読書するシッターが便器の中に引きずり込まれる。帰宅したフランクがトイレに行くと、そこは血の海。便器からはサメの背ビレが浮かんでいた。

感想

ハウス・シャーク退治にやってきた念力使いの先住民曰く、「かつてサメは陸上の生き物だった」とのことである(彼は秒殺される)。従って、本作の世界においてサメが家にいること自体には何の不思議もない。2、3メートルほどの大きさがあるのにトイレやシンクから排水溝へと自在に移動する可変式であることもきっと不思議ではない。仮に疑問に感じてもツッコんだら負けである。これはサメ映画なのだから。

サメを陸上生物として扱うというアイディア以上に特筆すべき点は、サメの造形だろう。着ぐるみである。半分ゆるキャラである。獅子舞と戦っているくらいの感覚である。これが普通に歩いたり寝転んだりする光景のなんとシュールであることか。画面に映してはいけないクオリティの代物だが、出てくると悔しいけれど思わず笑ってしまう。サメ映画史に残るサメだと思う。悪い意味で。よくこれで映画を撮ろうと思ったな。

サイキック先住民を秒殺したり人間を排水溝に引きずり込んだりするハウス・シャークだが、普通に肉弾戦(蟷螂拳)で対抗できる。強いのか弱いのか分からない。指がないのに謎の光線銃を使いこなしたりと、知能が高いのは間違いないようである。

ハウス・シャーク以外にも会話がシュールで笑える。デートから帰宅して血みどろのトイレを目にする父に対し、息子が「どうして顔が古タイヤの臭いなの?」と尋ねたり、ハウス・シャーク襲撃事件に囚われたフランクと不動産屋の「検視官はサメに襲われたような跡があると言った」「言ってないぞ」「そう思ったはずだ」という会話だったり。無意味でつまらない台詞がほとんどだが、中には確実に光るものがある。売却中の家の内覧に客が来ているのに、トイレがそのままというのもポイントが高い。

しかしながら、111分は流石に長過ぎる。サメ映画は特別な許可を得ない限り90分程度に収めるべきである。これは法律による規制が必要だろう。表現の自由を十分に上回る公共の福祉が見込まれる。家にサメが出るというアイディアだけで既にやり過ぎなのである。家を水没させるなんてアイディアまで実現しようとしなくていい(できていないし)。ただでさえ間延びしているのだから、少しは取捨選択を覚えるべきである。ちなみに本作の製作費はクラウドファンディングにより集められたらしく、エンドロールのスペシャル・サンクスがやたらと長い。スピルバーグは感謝されたくないと思うよ。

ボンク監督は尻フェチのようである。全裸読書のシッターが便座に腰掛けると、便器の内側からのアングルで尻がデンッと出てくる。これは新鮮である(その手の映像を専門に見る人もいるのだろうが)。他にもウェイトレスの尻をアップで追いかけたり、リンカーン大統領に扮した男が「俺の尻から鍵を取り出せ」と指示したり、尻に関する描写が多い。また、殺された内覧客は何故か肛門の皮膚を手にしている。性的なフェチズムを超えた何かである。

ハウス・シャーク(字幕版)

ハウス・シャーク(字幕版)

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