オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ウェット・ホット・アメリカン・サマー:あれから10年』

Wet Hot American Summer: 10 Years Later

監督:デヴィッド・ウェイン 出演:ポール・ラッドアダム・スコット

概要

サマーキャンプの同窓会。

短評

映画版『ウェット・ホット・アメリカン・サマー』でベン(ブラッドリー・クーパー)の言っていた「10年後の同じ日にここに集まろう」を実現したドラマである。登場人物とキャストの年齢差は縮まっているが、それでもなお26才にしては老けている。そして言い出しっぺのベンは、クーパーが出世しすぎたのが原因なのか、「イビキ改善のために鼻を整形した」という理由で顔が変わっている。

あらすじ

あれから10年である。化粧品販売会社で順調にキャリアを歩むケイティ(マーガリート・モロー)や映画プロデューサーになったスージーエイミー・ポーラー)がいる一方で、童貞ビクター(ケン・マリーノ)は童貞のままで、親友ニール(ジョー・ロー・トルグリオ)と共にバーテンダーをしていたり、JJはレンタルビデオ店員だったりと、華々しい活躍を見せる女性に対して、男はそのまま情けない印象が強い。ゲイのベン(アダム・スコット)とマッキンリー(マイケル・イアン・ブラック)は結婚し、可愛らしい養子を迎えている。

感想

これまでの話を総括するかのような内容である。三十郎氏としては「これ、必要だった?」という不満が強い。全体にストーリーらしいストーリーがあるのも“らしくない”のだが、それがどういう理由によるものなのかが最後に判明する。なんと、作家になったクープ(マイケル・ショウォルター)の創作だったのである。喋る缶のミッチも、現実世界では普通のおっさんとしてベスと幸せに暮らしている。

いや、違うだろ!そうじゃないだろ!このシリーズの魅力は“荒唐無稽なナンセンス”にこそあったはず。それがどうだろう。楽しい思い出を脚色して物語として魅力的しましたというオチをつけることで“make sense”してしまった。こんな大団円を三十郎氏は望んでいない。彼らには意味不明に阿呆なままでいてほしかった。もし、これが創作だと言うのなら、クープの書いた話はあまりに支離滅裂である。

もっとも最後の展開以外はいつも通りに阿呆な話である。特に気に入ったのは、遂にビクターが童貞卒業のチャンスを迎える展開。クープの元カノ、ドナ(レイク・ベル)の恋人ヤロンが種無しのため、「今夜、あなたの精子が欲しい」とお誘いが掛かる。願ってもないチャンスのはずだが、初体験が3Pというのは童貞にとって身に余る任務である。ビクターはニールに教えを請い、マットレスを相手に腰を振る練習をする。なんとも涙ぐましい努力である。彼は行為後に「陰茎からリンスが出た」と感動していたが、これまで射精したことはなかったのだろうか。それだけ溜め込めば夢精してパンツを洗うのが大変なのではないか。腰の振り方を全く知らないというのも、ポルノを見たこともなかったのだろうか。ヤリチンを自称してきた割には超ピュアな男である。また、今シリーズでは周囲に童貞であることがバレている。卒業したあとも童貞のままだと思われている。

ブラッドリー・クーパーが去ったことだけは残念だが、よくもこんな阿呆な話に豪華キャストが出続けてくれたものだと思う。前回のドラマ版で実質的にメタな同窓会は成立しているわけで、来なくなる人がいるというのも同窓会らしいか。

Wet Hot American Summer: The Annotated Screenplay

Wet Hot American Summer: The Annotated Screenplay