オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ルイの9番目の人生』

The 9th Life of Louis Drax, 107min

監督:アレクサンドル・アジャ 出演:サラ・ガドンジェイミー・ドーナン

★★★

概要

よく事故に遭う少年とその母親の話。

短評

これが本当に“あの”アレクサンドル・アジャの映画なのか。精神的にはかなりグロテスクだが、この人はもっと視覚的なグロテスクさを専門にしている人ではなかったか。『ホーンズ』もグロテスクじゃなかったし、最近はグロ路線を捨てたのだろうか。ワニ映画はどうなのだろう。アジャ監督作品としては期待外れだが、これはこれでという気がしなくもない。それはサラ・ガドンが極めて妖艶に美しいからである。そして、美しい女は怖ろしいのである。

あらすじ

生まれた瞬間から瀕死の事故に遭い続けてきたルイ・ドラックス(エイダン・ロングワース)。何度も死にかけては蘇ってきた不死鳥的なルイ少年だったが、崖から落っこちて今度ばかりは……と思ったら二時間の死の後にやっぱり蘇生する。母ナタリー(サラ・ガドン)がルイを突き落としたと証言する父ピーター(アーロン・ポール)は逃亡中、肝心のルイ少年は昏睡状態。何が起こったのか。ルイは目覚めるのか。

感想

母ナタリーは自然と周りに男が群がる超絶美人であり、夫ピーターが「彼女は脆い」と表現するメンヘラである。その二つをくっ付けてメンヘラ美女である(そう言えば、ホストを刺したメンヘラ美女も可愛かったですね)。これは男の気を引く。三十郎氏の気も引くし、ルイの主治医パスカルジェイミー・ドーナン)の気も引く。三十郎氏には何も起こらないが、パスカルはイケメンなので起こることが起こる。つまりはそういう女なのである。

何が起きたのかまでは分からなくても、彼女が悪女であるということは早い段階で予想がつく。しかし、そこに辿り着く方法については完全に予想外だった。言われてみれば、伏線として使用しなければ不要なシーンがある。

彼女が単なる美女であれば、周囲の男が勝手に色めき立つというだけで終わる話である。しかしながら彼女はメンヘラなので、周囲の目を引きたくてたまらない。怖いなぁ。メンヘラという生き物はこういう考え方をするのか(本作では代理ミュンヒハウゼン症候群と診断される)。男が彼女に惹かれるのにはちゃんと理由があるのである。か弱く見える女は、か弱く見られようとしているのである。求められないとは思うが気をつけようと思う。それにしても「処分の権利」という考え方は怖ろしい。製造物責任はあっても、そんな権利があってたまるか。

ルイ少年は母親譲りの超絶美少年だが、こまっしゃくれたクソガキである。彼の語り口が軽妙であるため本作はかなりコミカルで、ゾッとするような真実が判明した時にもむしろ笑ってしまった。

フジツボとワカメの怪人はもっとグロテスクでもよかったが、それは映画の内容に反した三十郎氏の願望である。

ルイの9番目の人生(字幕版)

ルイの9番目の人生(字幕版)

  • 発売日: 2018/08/08
  • メディア: Prime Video