オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『クリープ』

Creep, 77min

監督:パトリック・ブライス 出演:マーク・デュプラス、パトリック・ブライス

★★★

概要

おっさんを撮影する話。

短評

気持ち悪いおっさんというのは、それだけで十分にホラーになることを教えてくれる怪作である。本作に登場するおっさんは“気持ち悪い”を超えて“ヤバい”奴ではあるが、三十郎氏もズレた言動で周囲を怖がらせないように注意したい。

あらすじ

「脳腫瘍で余命二、三ヶ月なんだ。生まれてくる子供に『マイ・ライフ』みたいなビデオ日記を遺したいから協力してくれ」とアーロン(パトリック・ブライス)に仕事を依頼するジョセフ(マーク・デュプラス。本作を『パドルトン』よりも先に観ていなくてよかったと思う)。本作は、アーロンが撮影するモキュメンタリーの形式で進んでく。監督を兼任するパトリック・ブライスとマーク・デュプラスの二人芝居である。

感想

余命僅かなのに妊娠中の妻を残して別荘にいる時点で十分に怪しい。それにジョセフはやたらと走り回っており、癌患者とは思えないほど元気である。終盤までは何かが起こるわけではないのだが、「何かが可怪しい」という違和感と「このおっさん、気持ち悪い」の嫌悪感が徐々に募っていく。これは十分にホラーである。しかし、同時に笑えるのである。

何が気持ち悪いって、ジョセフの残すビデオ日記がちょっとしたデート・ムービーなのである。自分の入浴シーンから撮影を始めさせ、「あそこの岩にハート型の穴があるよ」と喜び(岩を「J + A」と削ってハートで囲っちゃう)、「ウィスキーがあるよ。まだ帰らなくてもいいだろ」とせがむ。ジョセフは明らかにアブナイおっさんなのだが、これが恐怖なのか滑稽なのか判然とせず、絶妙に気持ち悪い。狼のマスクを被って通せんぼしている怖さは強烈。

誰が撮影しているのか、誰が映像を見ているのか分からないモキュメンタリーの形式が上手く活かされていた。短い映画の割には「いつ終わるんだろう?」という間延び感があるのだが、これは二転三転していないのにしているように思える展開を反映した結果である。アーロンはジョセフに弄ばれていたが、三十郎氏はこの映画に弄ばれた気分である。

続編があるようだが、種明かしをした後でどのような変化を加えてくるのだろうか。

Creep / [DVD] [Import]

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