オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ウェット・ホット・アメリカン・サマー』

Wet Hot American Summer, 97min

監督:デヴィッド・ウェイン 出演:ポール・ラッドブラッドリー・クーパー

★★★

概要

1981年のサマーキャンプ最終日。

短評

今をときめくスターたちが大したことない役でたくさん出演している、お宝的で阿呆なコメディ映画である。それらしいストーリーもないし、終盤は超展開で意味が分からないし、滅茶苦茶な映画なのだが、バカバカしくて楽しい映画でもある。2001年の作品である。みんな若い!

感想

アメリカにはサマーキャンプという文化がある(日本にもあるらしいが、三十郎氏は参加したことがない)。学校生活では体験できないような自然との共生や集団生活を学ぶ場とされているらしいが、要は親が夏休み中の子供の世話を他人に押し付ける口実である。キャンプには参加者の子供たちの他に指導員と呼ばれる世話係の大人や青少年がいる。大人も子供も、ひと夏の間に恋人を作れなければ、地元に帰った時に虚偽のサマーロマンスを捏造しなければならないという過酷かつ恐怖のイベントである。パートナーがいなければ参加すら叶わないプロムよりはマシかもしれないが、欧米のカップル文化が日本になくて本当に良かったと思う。

ボケたおすタイプのオチがない笑いである。たとえば子供たちに自分の離婚体験を語りだした大人がいたかと思えば、彼女が泣き出してそのシーンは唐突に終わりといった具合で、別のシーンに切り替わった時にジワジワくるようなものが多い(ちなみに「私は34才だし次の出会いはないかもしれない」と泣くこの女性は、大人顔負けの慰め方を披露する男児とキャンプ後に結婚する)。「今の何だったの……?」的なナンセンスである。

ポール・ラッドブラッドリー・クーパーエリザベス・バンクスエイミー・ポーラーと当時は大して豪華でなかったであろう豪華なキャストが揃っている。主人公格の青年クープの恋敵になるポール・ラッド以外は純粋な“ちょい役”である。なんと贅沢な使い方だろう!ブラッドリー・クーパー演じるベンは挙動が乙女なゲイで、“受ける”姿を披露している。髭も剃っていて、なんか肌がピチピチでプリプリである。80年代の流行だったのか、ハミチンすれすれのショートパンツを履いているのも、これ以上なくゲイっぽい。

終盤は本当に意味が分からない。人工衛星が墜落するのを自家製装置で回避したり、変なオタクが超能力者みたいになっていたりと、皆ドラッグでもキメているのではないかという展開である。場所や時間についても明らかに整合性を欠いている。と言うよりも破綻している。終盤だけでなく、中盤にも街に繰り出した一同が『トレインスポッティング』の修道院のような場所で“針”まで使っていたりするので、本当にキメているのかもしれない。しかし、全てはサマーキャンプ中の出来事である。解散すれば、それで終わりということで。

クープとケイティが最終日の盛り上がりで上手くくっついたかと思ったら、翌日には「あなた良い人だけどセックスしたい相手じゃない」とあっさりフラれる展開が素敵だった。高校時代に学校行事の準備期間中にくっついて、本番当日のしばらく後に別れたカップルたちを思い出させた。

自分に口淫する缶と、冷蔵庫と交合するベトナム帰還兵のネタが秀逸。

WET HOT AMERICAN SUMMER