オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『マニアック』

Maniac

監督:キャリー・フクナガ 出演:ジョナ・ヒルエマ・ストーン

概要

統失男と薬中女が治験に参加する話。

短評

Netflixのオリジナル・ドラマ。リミテッドシリーズなので1シーズン完結型である。ジョナ・ヒルが痩せている。エマ・ストーンがコスプレしている。『007』の新作で注目されている日系のキャリー・フクナガがヘンテコ・ジャパンを描いている。奇妙奇天烈な世界観で大変に混乱するが、既存のイメージの継ぎ接ぎ感があって斬新とまでは思えないし、話自体も終わってみればシンプルだったように感じる。

あらすじ

名門ミルグリム家の落ちこぼれで統合失調症オーウェンジョナ・ヒル)。妹を交通事故で亡くし薬物にハマるアニー(エマ・ストーン)。この二人が、ネバーディーン社の治験に参加して出会う。A錠、B錠、C錠の三つの薬を飲む、三つのステップを経て、過去や現在と向き合っていく……はずである。

感想

とにかくへんてこな映像である。そもそも舞台が未来なのか過去なのか分からない。AIを含む技術的には明らかに未来の話だが、コンピューターのモニターがブラウン管だったりして、登場するアイテムは明らかに過去のものである。これが世に言うレトロフューチャーというやつなのだろうか。そこに日系企業のヘンテコ・ジャパン要素が加わり(日本語が英語より聞き取りにくいタイプ)、更には実験で脳内世界へ飛んでいく。様々な場所や時間や世界に飛んでいったり戻ってきたりでとっ散らかっているが、この奇妙さや猥雑さこそが本作の魅力と言えるだろう。

第1話と第2話をオーウェンとアニーを紹介するプロローグに費やし、第3話から本格的に実験が始まっていく。A錠を飲む最初の実験では、「何が起きているのだろう」「これはどういうことだろう」「どこに向かっていくのだろう」と様々な疑問が頭を支配し大変に楽しめるが、B錠、C錠と進んでいくにつれて、明らかに間延びしていく。ここからコスプレ・パートが始まるのだが、これがどうにもイメージ先行という気がしてならない。三十郎氏の興味は、この途中で脱落してしまった。

しかしながら、やっていることは心象世界での自己への対峙と、コンピューターの暴走という、これまで再三再四描かれてきたモチーフである。へんてこな外殻に覆われてはいるが、中身は普通なのである。美味しそうなお菓子のパッケージに騙された感がある。そんなわけで、分かりにくさの割には完走した時の爽快感に欠けるドラマだった。魅力的なキャストとキービジュアルの割には期待はずれである。

エマ・ストーンの動きは良くないが)長回しの戦闘シーンがあったり、頭をドリルでほじくる残虐描写は好きだったので、監督の自由度を奪われる『007』には引き続き期待したいと思う。本作は、監督の裁量が大きく他者からのコントロールが効かないNetflixの悪いところが出てしまった印象である。

エマ・ストーンのやさぐれエルフは好きだった。