オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『エドtv』

EDtv, 123min

監督:ロン・ハワード 出演:マシュー・マコノヒーウディ・ハレルソン

★★★

概要

一般人完全密着型のリアリティ番組

短評

マシュー・マコノヒー主演、ロン・ハワード監督のコメディ映画。一般人の生活がテレビで公開されるというのは、本作の前年に公開された『トゥルーマン・ショー』に近い設定だが、カメラを意識しているか否かの大きな違いがある。現代人たちはテレビではなくネットで私生活を公開しまくっているが、見せたくないものまで見せるか否かという更に大きな違いがある。

あらすじ

ケーブルテレビ局のディレクター、シンシア(エレン・デジェネレス)が思い付いた新企画は、一般人の生活を24時間中継し続けるというもの。見事出演権を勝ち取ったエドマシュー・マコノヒー)は、31歳のレンタルビデオ店員。好きな映画は『トランザム7000』で、セガールをお子様向けと罵る、バート・レイノルズのファンである。彼が「人生に一度だけのチャンス」と臨んだ番組は、開幕朝勃ちイジりでマイケル・ムーアに「アメリカの新たな汚点」と誹りを受けるも、絶大な人気を博することになる。

感想

エドが兄レイ(ウディ・ハレルソン)を訪ねると浮気の真っ最中で、それをテレビで見ていた恋人シャリ(ジェナ・エルフマン)から電話が掛かってくるといった生中継ならではの展開が面白い。これを皮切りに、エドとシャリがくっ付いたり、カーセックスを中継されてシャリが逃げ出したり、不美人なシャリが視聴者から嫌われたり、ヤラセ美女(エリザベス・ハーレイ)を番組が送り込んだりと、いかにもありえそうなことがブラック・ユーモアたっぷりに描かれている。

映画で見ているのはいわゆる“ハイライト”なので面白く感じるが、実際の番組は「これのどこが面白いの?」である。その疑問に対する端的な答えとして「分からないけど気になる」という台詞が用意されている。本当に分かっていないのだろうか。他人の人生を覗き見するというのは下品な娯楽である。しかし、下品であるが故に楽しい。更に、それは公開されているものなので、視聴者は自由に、そして無責任に文句を言える(「シャリはブスだから別れてしまえ」とか)。この自分の下衆さを覆い隠す言葉として「分からないけど」を用いているのではないか。本作でエドの人生が崩れていく様子を楽しむ三十郎氏も下衆なのである。更に、視聴者に覗き見させるテレビ局や監督はもっと下衆である。ヒッチコックも自らを“覗き魔”と称していた。

序盤の面白さに対して尻すぼみ感はあるが、契約に縛られて出演を辞めたくても辞められなくなったエドが、テレビ局の重役(ロブ・ライナー)の醜聞を募集するという決着の仕方は良かった。誰だって知られたくない見られたくない姿はあるものである。三十郎氏なら顔を晒される時点で耐えられない(でも有名になって裸の写真が送られてくるのは羨ましい)。エドが結ばされていた契約は、日本だと民法90条の「公序良俗に反する契約」で無効になりうると思うのだが、アメリカには当該の法律がないのだろうか。契約社会は、契約を理解しない者に厳しい。

あらすじに「素人完全密着」と書こうと思ったのだが、素人という言葉はどうも桃色な響きを含んでいるような気がして「一般人」にした。ところで、「素人」で検索すると桃色なサイトばかりが出てくる。辞書サイトが出てくるのは2ページ目である。これは素人という言葉自体が桃色に毒されてしまった結果なのか、それともGoogleが三十郎氏に最適化した結果を表示しているだけなのか。

エドtv (字幕版)

エドtv (字幕版)

  • 発売日: 2014/01/01
  • メディア: Prime Video
 
トランザム7000 (字幕版)

トランザム7000 (字幕版)

  • 発売日: 2015/01/05
  • メディア: Prime Video