オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『テリファイド』

Aterrados(Terrified), 87min

監督:デミアン・ラグナ

★★★

概要

ブエノスアイレスの住宅街で心霊現象が起きる話。

短評

アルゼンチンのホラー映画である。パッケージに写っている怪人が“アレな感じ”なので、面白モンスターに襲われるギャグ系B級ホラー映画かと思いきや、意外にも真っ当に怖がらせるちゃんとしたホラー映画だった。何が起きているのか調査するという形式を採りながら、何が起きているのか分からないまま恐怖に襲われる理不尽さが素敵である。

あらすじ

排水溝から響く「死ね」という声を聞いた女は、血まみれで宙吊りになり、壁にドンドンとぶつかって死ぬ。その隣人で壁ドン合戦を繰り広げていると勘違いされた男は、ポルターガイスト現象に悩まされて不眠症になり、証拠ビデオを撮影したら裸の男が映っている。彼らの家の前の通りでは子供が車に轢き殺され、埋葬されたはずの遺体が家に帰ってくる。

感想

てんこ盛りである。謎の声という心霊現象にはじまり、人体浮遊、ポルターガイスト現象、裸のおっさん、ゾンビ、吸血鬼、地底人。なんでもあり過ぎて、これは『キャビン』の実験の一幕なのではないかと疑うレベルである。もちろんこれは実験ではないし、その現象の意味や繋がりも分からないままである。説明もされないし、解決もされない。

幽霊であれモンスターであれ、ホラー映画の怪異たちはボロ雑巾になるまで酷使されてきた。人間たちも対抗手段を覚えてきた感がある。本作にもサイキック系調査員が登場し、謎を解き明かしてくれるのではないかと期待させるが、彼らは為す術なく蹂躙される。「ホラー映画ってこういうものだよな」と初心を思い出させてくれる映画である。怪異なんて人間ごときが理解して立ち向かえるような存在ではないのだ。きっと幼い頃にお化け屋敷で怖がっていた三十郎氏は似たような感覚だったのだろう。

パッケージのハゲ男こそ“アレな感じ”だが、ビジュアル面でも不足はない。特に墓から蘇った子供が食卓に鎮座している光景は最高に不気味である。「今動いた?」「いや、動いてないでしょ」「コップ倒れたし、やっぱ動いてるよ」のやり取りにはシュールさがあり、怖いのか滑稽なのかよく分からないのが、絶妙にホラー映画なのである。

テリファイド(字幕版)

テリファイド(字幕版)

  • 発売日: 2019/04/03
  • メディア: Prime Video