オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スペクトル』

Spectral, 108min

監督:ニック・マチュー 出演:ジェームズ・バッジ・デールエミリー・モーティマー

★★★

概要

見えない敵と戦う話。

短評

NetflixオリジナルのSFアクション映画。監督のニック・マチューはCMの監督らしいが、本作以外に関わった映画(だけでなくドラマや短編も)が一切なく、映画界では全くの新人である。その割に新人とは思えない、挑戦的でありながら手堅い仕上がりだったと思う。設定倒れになりそうでならない。予算規模も新人レベルではないだろう。一体何者なのだろうか。

あらすじ

反乱軍の蜂起により混乱に陥ったモルドバ。派遣されたアメリカ軍の兵士が正体不明の敵に襲われる。その敵は、現地で「戦争の亡霊」を意味する“アラタレ”と呼ばれていた。敵の正体を解明するため、兵器開発の研究者クライン博士が送り込まれる。当然クライン博士も襲われるが、その中で得られた情報を基に敵を分析していく。

感想

姿の見えない敵ということで、①機械の故障②(プレデター的な)特殊スーツを来た敵兵士③亡霊、の三つの可能性が提示されるが、本作はそのいずれでもない。そして、正体を明かされてガッカリというわけでもない。科学者のクラインが、分かるような分からないような理屈を用いて、強引にでも納得させてくれるのには好感が持てた。何の引っ掛かりもなく飲み込めたのかというと怪しいところだが、少なくとも「へぇ~」となったのは間違いない。

クラインたちが敵に襲われ対処していく中で、偶然だったり科学者らしい考察により、一つ、また一つと新たな事実(=敵の設定)が明らかになっていく。肉眼では見えないが、紫外線だか赤外線だかで可視化できる。鉄に弱い。接触すると凍死する。これらの積み重ねが、正体不明の敵という本来は謎のままにしておかなければならない存在の解明を納得させてくれるのである。

廃墟を舞台とした戦いに、亡霊のような敵。これらに対して兵器がSFっぽいアンバランスが面白い。更には四足歩行の大型ロボット(子供の玩具みたいで格好いい!)まで登場する。ロボット以外の兵器は、クライン博士がその場で既存の武器を改造して作った即席品である。凄いな、科学者!敵を可視化するためのサーチライトが当たっていないところまで可視化されているという雑な部分はあるが、戦闘シーンはなかなかの迫力だった。

割と早い段階で可視化されてしまうので、“姿が見えない”というのが十分に活かされていないのは残念なところ。なんとか姿が見えないままで、敵の特性を探っていく展開にはできなかったものだろうか。

本当に科学的なのかどうかは無視して、本作は科学の力で未知の敵の正体を解明し立ち向かっていく科学万能映画である。ところが最後に、あるものについては「科学では分からない」というオチをつけたのは綺麗な締め方だったと思う。