オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ザ・ボルト -金庫強奪-』

The Vault, 91min

監督:ダン・ブッシュ 出演:ジェームズ・フランコ、タリン・マニング

★★

概要

強盗に入った銀行の地下金庫に亡霊がいる話。

短評

銀行強盗と心霊ホラーの組み合わせは新鮮だが、アイディアだけが先行して全てが中途半端になった印象である。『ドント・ブリーズ』の亜種とも言える展開なのだが、ホラー化した本編が怖くないし、強盗パートは導入部に過ぎないので色々と杜撰で楽しくない。

あらすじ

信託銀行を襲う五人の強盗たち。首尾よく金庫を開けさせるが、そこには7万ドルしか入っていない。人質の一人(ジェームズ・フランコ)が地下金庫に600万ドルあると言うので、行ってみると……。

感想

強盗集団はへっぽこである。火事に乗じた襲撃という面倒な準備をし、金庫破りや脱出ルート確保のための工具を揃えているのに、いつ襲えばどれくらいの金額が保管されているのかという最も基本的な下調べをすることはないらしい。「7万ドルしかない!ふざけんな!」とメンバー間で揉めているが、アメリカン・ニューシネマ時代の場当たり的強盗じゃないんだから、しっかりしてくれ。

へっぽこぶりに拍車を掛けるのは主犯格の姉妹である。リーア(フランチェスカ・イーストウッド)とヴィー(タリン・マニング)の二人は偉そうにしている割にまるで役に立っていない。彼女たちの演技が軽くて、行員や客を脅すシーンに迫力を感じないのは、“あえて”の演出なのだろうか。それとも演技が下手なだけなのだろうか。ヴィーの方は強がっているだけの雑魚キャラという感じもするが(窓口で喚いているシーンがちょっと恥ずかしい)、ボスのリーアまでへっぽこだらけなのはどうなのだろう。

亡霊のいる地下金庫に導かれたのは、上述の下調べの欠如が原因である。計画の段階で失敗しているので、彼女たちの無能さを殊更強調する必要はなかったと思う。何か狙いがあったのだろうか。それ以外の失敗は本質的に重要ではない。銃を突き付けて脅すのも距離が近すぎて、人質の中にアクション・スターが混ざっていたら簡単に奪われているに違いない。簡単だったはずの仕事が恐怖の事態へという対比があるわけでもなく、小さなミスが積み重なって破滅へ向かうのでもなく、強盗と亡霊を組み合わせてみただけという印象が残る。

登場する亡霊たちが三十郎氏を震え上がらせてくれることは一切なかった。彼らは物理攻撃してくるし、こちらの物理攻撃も有効である。亡霊そのものよりも薄暗い地下通路の方が怖いレベルである。

亡霊のボスと部下のほとんどが亡霊然として生者を襲うのに対し、一人だけが人間として振る舞うのは誘導役の仕事を与えられているのか。しかし、それだと警察の無線に過去の会話を混線させて妨害する意味が分からない。最後にびっくりさせたくて、色々と煮詰めないままゴーサインを出してしまった感じがする。これはB級映画らしさと言っておくべきか。

ドリルで自分の頭をガリガリやったり、ショットガンで吹っ飛ばした頭の残骸の描写は好きだった。

ザ・ボルト 金庫強奪(字幕版)