オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ザ・ランドロマット -パナマ文書流出-』

The Laundromat, 96min

監督:スティーヴン・ソダーバーグ 出演:メリル・ストリープゲイリー・オールドマン

★★

概要

超富裕層による節税(=脱税)のカラクリ。

短評

スティーヴン・ソダーバーグによるNetflixオリジナル映画。パナマ文書を題材として「こんなバカげたことがまかり通っていますよ」というブラック・コメディなのだが、ソダーバーグらしい洗練が見られず、風刺ものとしては中途半端な印象である。どうせNetflixでやるのなら映画という形に拘らず、ミニシリーズのドラマにすればよかったのに。Laundromatはコインランドリーという意味である。

あらすじ

観光船の転覆で夫(ジェームズ・クロムウェル)を亡くした未亡人のエレン(メリル・ストリープ)。彼女には多額の和解金が支払われるはずだったが、事業者の加入している保険会社が再保険会社に加入して……とややこしいことになっており、結局少額しか支払われない。彼女が「責任者はどこか!」と追求を続けると、パナマにあるペーパー・カンパニーの存在が浮かび上がってくる。

感想

という物語の筋があるのだが、本作の案内人はモサック(ゲイリー・オールドマン)とフォンセカ(アントニオ・バンデラス)の二人。彼らがパナマで設立した法律事務所モサック・フォンセカが、パナマ文書の流出元というわけである。彼らが「こんなことやってますよ」といった具合に、アフリカ人富豪や中国の汚職政治家のエピソードを紹介していく。これらのエピソードは静かで乾いた笑いを用いて面白おかしく描かれているが、全体としてのまとまりを欠き、どうも風刺というよりも直接的な批判の色が強い。それは、映画としての面白みにやや欠けていることを意味する。

こんな批判映画を繰り広げていても、「ハリウッドの金持ちだってやってるんでしょ?」と疑ってかかるのが庶民というものである。それを逆手に取るかのように「この映画の監督も五つのペーパー・カンパニーを持ってる」と登場人物に言わせる自虐演出が面白かった。しかし、劇中の登場人物がメリル・ストリープ本人へと戻っていくラストシーンでも「いや、どうせあなただって……」と少し冷めた気分になるのも事実である。

パナマ文書について、三十郎氏は「巨大過ぎて結局詳しいことが理解できないまま話題が萎んでしまった」という印象を持っている。本作はその一端を明らかにしてくれるが、全容を明らかにしてくれるわけではない。できればドキュメンタリーで詳細やその後の対応を知りたいと思うのだが(特に後者)、知ったところで何かできるわけではない。できるだけ親しみやすい形で法の不備に対する怒りを表明し、観客に関心を持たせやすい映画という形式は、それはそれで正解なのかもしれない。

Laundromat

Laundromat

 
Secrecy World: Inside the Panama Papers Investigation of Illicit Money Networks and the Global Elite

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