オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『マインドハンター S2』

Mindhunter Season 2

監督:デヴィッド・フィンチャー他 出演:ジョナサン・グロフ、ホルト・マッキャラニー

概要

FBIの捜査に心理学を導入する話。

短評

やられた。これはしてやられた。心理学を扱うドラマだけのことはあり、三十郎氏の心理を読み切ったかのように弄ばれてしまった。容疑者逮捕の結末が、こんなに後味が悪いだなんてどういうことだ。脚本チームにサイコパスが紛れ込んでいるに違いない。なお、今シーズンは第1、2、3話の監督をフィンチャーが担当している。

あらすじ

フォード(ジョナサン・グロフ)の失態により所長が円満退職させられ、新しい所長(ハゲ)がやって来る。新所長は行動科学課に協力的であり、現在進行系の事件にフォードとテンチ(ホルト・マッキャラニー)を派遣し、心理学的アプローチがいよいよ現場進出を果たす。

感想

前シーズンのフォードは、心理学をかじっただけでイキり倒すイタい男に見えたが、意外な形で彼の有能さを認識することになる。チャールズ・マンソンと対峙したテンチが激昂したり、カー博士(アナ・トーヴ)が凶悪犯の本音を引き出すのに苦戦している姿を見ると、やはりフォードは会話術に長けていると思わせられる。これはきっと人質解放交渉という前職の影響があるのだろう。犯人を落ち着かせる術を理解しているのなら、逆に犯人を動揺させる術も直感的に理解しているのだろう。面会の仕事については、やはり彼は有能なのである。

一方で、自身がプロファイルした犯人像に現実を当てはめていくという危うい姿勢はそのままである。前作の経験から学ぶことは特に無かったらしい。ケンパーにビビって失神するという恥ずかしい姿まで見せたのに。今シーズンの中心となっているアトランタでの連続殺人事件の容疑者が逮捕された際、「探していた人が見つかってよかったわね」という言葉がお祝いではなく皮肉として投げ掛けられるシーンが象徴しているだろう。

これだけであれば、前シーズンと同じく「ざまあみろ、フォード」で終わるところである。しかし、今回の捜査の対象は現在進行である。黒人の子供たち27人と大人2人が殺害された残虐な事件である。フォードの危うさを案じながらも、「犯人が逮捕されてほしい」という感情が同時に巻き起こる。フォードには痛い目を見てほしいが、犯人には捕まってほしい。つまり、今度だけはフォードに正しくあってほしい。そんなジレンマを抱えたドラマの向かう結末がこうなるとは……。「もう最終話なのにどう決着をつけるのだろう」と思っていたら、こんな形の決着になるとは思いもしなかった。これがフィクションではなく史実というのが、更に重くのしかかる。

大スターのチャールズ・マンソンが登場する。彼は確かにインパクトを残すが、ケンパー御大によれば、重要なのはマンソン本人よりも実行犯のテックス・ワトソンらしい。マンソンは所詮殺人を犯していない雑魚であり、先鋭化していく部下たちに威厳を示すために、殺人の指示を迫られたという理屈らしい。納得のいく話である。見た目も中身も怖ろしいケンパーだが、味方につけると物凄い説得力がある。レクター博士みたいな男である。

各話の冒頭に登場するので気になっていた、女装して首吊オナニーしているところを妻に目撃された変態男は次シーズンのお楽しみということらしい。物凄い引っ張り方である。フォードは相変わらずだが、テンチやカー博士のドラマも広がりを見せて、ますます楽しみになってきた。地味なのに強烈に惹きつけられて止まらなくドラマである。今のお試し期間が終わったら、次は新シーズンが配信された時に契約しようかな。

思春期の男女への性嗜好をヘベフィリアと言うらしい。日本でロリコンと呼ばれる大半はこれかな。ペドフィリア扱いされたくないロリコンは「俺はヘベフィリアだ!」と主張すればい。特殊とは言えないし、法的にギリギリセーフな場合もある。

マインドハンター──FBI連続殺人プロファイリング班 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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