オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ローリング・サンダー・レビュー:マーティン・スコセッシが描くボブ・ディラン伝説』

Rolling Thunder Revue: A Bob Dylan Story by Martin Scorsese, 142min

監督:マーティン・スコセッシ 出演:ボブ・ディランアレン・ギンズバーグ

★★

概要

ボブ・ディランのライブ・ツアーのドキュメンタリー?

短評

Netflixオリジナルのドキュメンタリー映画。三十郎氏はボブ・ディランに特段の興味を持っているわけではない。それでもタイトルに「マーティン・スコセッシが描く」とあれば、なんとなく「観ておかねば」という義務感に駆られる。スコセッシがボブ・ディランを描くのは『ラスト・ワルツ』『ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム』に続く三度目だが、いずれの作品も未見であり、ボブ・ディランに対する理解は皆無に近い。これは作品の内容がどうこう以前に、興味の部分でしんどいところがあった。

感想

ローリング・ストーンズの『シャイン・ア・ライト』のようにライブ映像に全振りしたエンタメというわけでもないし、随所にスコセッシ本人が登場して楽しませてくれる演出もない。これはディラン・ビギナーですらない、始まってもいない三十郎氏には少し辛いところだが、歌っている姿と歌詞の日本語訳を同時に見られるのはそれなりに楽しかった。とりわけ権力に抵抗する気骨ある姿は格好よく映るのだが、現代では芸術や作品が大衆を導くようなことはほとんどないと感じる。文化的に何が変わったのだろう。

視聴後に調べてみて分かったのだが、本作は純粋なドキュメンタリーというわけではなく、かなりの部分にフェイクが盛り込まれたモキュメンタリーであるらしい。その証拠として、エンドロールの出演者たちには役名がついている。なんということだろう。当時のアメリカ社会とボブ・ディランの関わりを「ほぇ~」と間抜け面で納得しつつ眺めていたら、実はスコセッシに騙されていたのである。これで、ジョルジュ・メリエスが人体消失マジックをしている映像が冒頭に挿入されている意味が繋がった。してやられたものである。

『Hurricane』という曲を送られたルービン・ハリケーン・カーターが登場する。デンゼル・ワシントンが『ザ・ハリケーン』で演じたボクサーである。当時の映像の横顔が思った以上にデンゼル・ワシントンだった(『ゲーム・ナイト』の偽デンゼルよりも似ている)。他には、KISSのシャツを着た超絶美少女の写真が出てきたと思ったら、当時10代のシャロン・ストーンである。彼女のエピソードは本物?フェイク?

ボブ・ディランはステージでベストを着ている。ジレと呼ばれるチョッキをTシャツの上に着て“木こり”と呼ばれた大学生たちの源流はボブ・ディランにあったのだ。

スコセッシのドキュメンタリーと言えば、『マーティン・スコセッシ 私のアメリカ映画旅行』と『マーティン・スコセッシ 私のイタリア映画旅行』の二本を観たいと以前より渇望しているのだが、レンタルも配信も見つからないし、DVDを買うしかないのだろうか。しかし、高いし、今更DVD画質というのも辛い。初期の作品と併せてリマスターして配信してくれないだろうか。お願いします、Netflixさん。『アイリッシュマン』がオスカーを獲得したら監督とファンにご褒美ということで、どうかひとつ。

ボブ・ディランエズラ・ミラーって似てますよね?

ローリング・サンダー・レヴュー (初回限定盤 DVD付き)

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