オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『パーフェクション』

The Perfection, 90min

監督:リチャード・シェパード 出演:アリソン・ウィリアムズ、ローガン・ブラウニング

★★★

概要

チェロ奏者が復讐する話。

短評

巻き戻し演出による詳細な説明が必要なほど驚きの展開だとは思わないが、楽しく観られる復讐譚である。一度目の転換については「そりゃそうだろう」でしかないのだが、これが起きるのは中盤である。その後の展開に対する興味は継続できる。その後の話の進め方から、二度目の転換についても「そりゃそうだろう」となるのだが、一度目の「そりゃそうだろう」は騙されていたことが分かって楽しい。

あらすじ

病に倒れた母の介護のため、チェロ奏者となる夢を諦めたシャーロット(アリソン・ウィリアムズ。ちゃんと確認したわけではないが、おっぱいは微妙に映っていなかったと思う)。母の死後、彼女は、彼女がいたはずのポジションにいるリジーに上海で接触する。

感想

意気投合し交合したシャーロットとリジーは、ボロいバスに乗って旅に出る。上海周辺なら高速鉄道も充実しているだろうに、こんなボロボロのバスに乗って何処に行くつもりなのだろう。鉄道なら切符を買うのに三時間も掛からない。メモを見せてパスポートを渡せば簡単に買える(経験談)。バスで体調を崩したリジーは、嘔吐し、漏らし、その中にはなんと虫が!「私の身体の中で虫が動いてるのぉおお!!」からの腕からゴキブリが噴出である。

「ギョェエエエ!!」と逃げ出したくなるが、よく映画を観る人もしくは経験者であれば、これ自体は典型的な……ということが分かる。「こうするしかないわよね」とシャーロットが四次元ポケットから包丁を取り出せば、それがどういうことなのかすぐに分かる。そこから先の詳細な説明は蛇足に感じるのだが、バスに乗車した際に「服に虫がついている」と声を掛けたのが一種のアンカリングだと分かったり、感染系スリラーを予感させた駅での描写も伏線だと分かったのは面白かった。

そこから先が真の復讐譚である。そして虫とは違う系統のグロも出てくる。血みどろである。特に右手を失ったリジーに呼応するかのように、シャーロットの左腕が引き裂かれるシーンはなかなかのものである。後になってみると「これってラストのアレをやりたかっただけだよね?」感があるけれど、リジーが右手を切り落とした時点でアレをやりたくなるのはよく分かる。やってくれてよかったと思う。四肢を切断され、恐らくは目も潰されて、音だけを純粋に楽しめるようになったアントン先生は良かったですね。音を楽しむための最大の障害も当然切り落とされたのだろう。

クラシック音楽関係者がヒップホップを聞いている姿に違和感があったが、これは終盤への伏線だったか。男による抑圧や虐待への抵抗といったモチーフがきっちり表現できていると言うには心理面の描写にかなり難があるが、スリラーとして展開と映像だけを楽しむなら佳作と言えるだろう。

ジーはシャーロットによって洗脳を解かれたということになっているが、その実態は新たな洗脳だろう。これが“自由からの逃走”というやつですか?読んでないから分からないけど。読んでも分からないだろうけど。

ヤマハ YAMAHA チェロ VC20G

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